ARIA世代は「やめる・手放す」適齢期
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「コロナ断捨離」。こんな言葉が生まれたほど、今年は身の回りのモノの整理や処分に意識が向いた年でした。40~50代にもなれば持っているモノ、抱えているコトは目いっぱいあるもの。だから、より一層「やめる・手放す」ことに引かれるのでしょう。では、モノ、コト、人間関係などをやめる・手放すには、何から始めればいいのでしょうか。「断捨離」の提唱者、やましたひでこさんに「やめる・手放す」が人生を変える理由と、ARIA世代が手放すべきもの、手放すためのヒントを聞きました。
とりあえず判断を「保留」にしていませんか?
これまでは、外に行っていれば家の中は見ないで済んでいました。ところがコロナ禍が起きて、外での人同士の「密」を避けるために家にいたら、家の中でモノと人との「密」が起きたんですね。それが新しい日常になったら、閉塞感とイライラ、うつうつの日々……。これではまずいと思った人が断捨離を始めたわけです。
でも、モノをため込んでいるその背景には何があると思いますか。実は、日々の忙しさなどに紛れて無自覚、無意識のうちに判断力が衰え、人生の機能不全に陥る。そんな事態さえ招きかねない現実があるんです。
私たちは誰しも「保留」するのが得意です。モノで言えば、以前は必要だったけど今はもう必要ではないモノ、もう自分との関係は終わってしまったモノがある。でも今すぐいらないと判断するのは面倒だから、保留にして取りあえず「片付け」と称して収納してしまうわけ。
さらに、「もう必要ではない」と判断しても、処分するかどうか決断するのをまた保留してしまう。さらに、「もう処分しよう」と決めたとしても、実際に行動を起こすのをまた保留してしまう。こうして保留のモノたちがいっぱいたまっているのが私たちの人生なんです。
自分にとっての最適な量を超えたモノに囲まれれば閉塞感を覚えるけど、それだけではない。保留を重ねて判断、決断をしないことで思考が停止する。見ないふり、感じないふりをしていることで感覚がまひし、感性が鈍化する。自分の意図や意思のない日常に、何となく不全感が生まれて、その繰り返しが何となく人生になっていく……。胸のつかえのようなものがたまっている40代50代は多いんじゃないですか。
自分にとって何が必要なのか、不要なのか。あるいは何がふさわしいのか、ふさわしくないのか。ここちよいのか、ここちよくないのか。その判断力や決断力すらあやしくなっているんです。