ARIA世代は「やめる・手放す」適齢期
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日常生活の中で当たり前に使っているもの、習慣になっていることをやめてみたら、生きるのが楽しくなった――。そんな実体験をつづったエッセー漫画「やめてみた。」シリーズが人気です。作者のわたなべぽんさんはARIA世代の一人。元来「ちゃんとしなくちゃいけないのに、できない自分」を卑下する気持ちが強く、人間関係でも相手を不快にさせたくないと自分の感情を抑え込むなど、息苦しさを感じることがあったといいます。わたなべさんが「やめてみること」を通して自身に起きたさまざまな変化について、お話を聞きました。

漫画家
山形県出身。第6回コミックエッセイプチ大賞・C賞を受賞しデビュー。著書に『桃色書店へようこそ』『スリム美人の生活習慣を真似したら1年間で30キロ痩せました』『ダメな自分を認めたら、部屋がキレイになりました』(以上、KADOKAWA)『自分を好きになりたい。』(幻冬舎)など。『やめてみた。』『もっと、やめてみた。』『さらに、やめてみた。』(以上、幻冬舎)は、累計45万部を超える人気シリーズ。
無意識の思い込みにショックを受けた「土鍋体験」
―― わたなべさんが「やめてみること」を思い立ったのは、何かきっかけがあったのでしょうか。
わたなべぽんさん(以下、敬称略) 私はもともと自己肯定感が低くて、漠然と「自分はこのままではいけない、どうにか変えていかないと」という思いが心の中に強くありました。すごく太っていたこととか、かつては汚部屋だったことなど、他の人と比べて自分にはできていないことが多いとも感じていました。ただ、直接的なきっかけになったのはシリーズ1作目の冒頭に描いた、今から13年ほど前の「土鍋体験」です。
私は夫との二人暮らしなのですが、ある日夕飯の支度をしていたら炊飯器のスイッチが突然入らなくなったんですね。でもといでしまったお米を無駄にしたくないからと、苦肉の策で初めて土鍋でご飯を炊いてみたら、びっくりするくらいおいしかった。炊飯器のようにタイマーでセットしたりはできないけれど、慣れれば炊き上がり時間を逆算して夕食作りの段取りをするのもさほど大変じゃない。気づけば、土鍋でご飯を炊く生活は1カ月続きました。「炊飯器じゃないとご飯が炊けない」という当たり前が崩れたのは、自分にとって本当に大きな出来事でした。
何より、自分の中に「こうあるべきだ」という思い込みがこれほど強くあったことがショックで、そこで初めて、自分の考え方は自分にすごく重荷を背負わせている、枷(かせ)をはめているのではという気持ちになりました。
―― そこからは「あれも、これも、実は思い込みかも?」と実践が続いたのでしょうか。