ARIA世代は「やめる・手放す」適齢期
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一緒に暮らしてきた夫婦がある日、別居に踏み切る……互いの仕事の都合などやむを得ない事情でなければ、「関係性が悪くなっての別居」とつい考えてしまいます。ところが「別居することで、お互いに成長するという面もあるんですよ」というのが石見銀山生活文化研究所所長であり、アパレルブランド「群言堂」デザイナーの松場登美さん(70歳)。夫の松場大吉さん(石見銀山群言堂グループ代表、67歳)とは、同じ町内で18年も仲良く別居生活を続けています。
夫婦が暮らすのは世界遺産・石見銀山の町、島根県大田市大森町。夫婦で共にビジネスを立ち上げ、育ててきた登美さんと大吉さんの別居生活が18年たっても新鮮さを失わない理由とは何なのでしょうか。
―― 松場登美さんは、昼間は会社で仕事をされ、夕方からは、同じ町内にある古民家を再生した宿「暮らす宿 他郷阿部家」の女将を務めているんですよね。別居を始めた直接のきっかけが、「他郷阿部家」の準備だったとのことですが。
松場登美さん(以下、敬称略) 買い手のつかなかった町内の武家屋敷を買い取って再生し、自分が考える理想の暮らしを表現する場所にしようとワクワクしながら取り組みはじめようとしていました。そのとき夫から『本当に理想の暮らしの家にしたいのなら、そこに住まないと本物にはならないよ』と言われて。ああ家を出てもいいんだなと喜びを感じた半面、『ていのいい三下り半かも?』と、やっぱり思わなくはなかったですね(笑)。
「ここの奥さんは町内別居しているんですよ」
もともと私は他所から、松場家に嫁としてやってきたので、その家を出るということにやはり後ろめたさはありました。ただ当時はそのことをあまり考えている暇はありませんでしたが。
ここは世界遺産・石見銀山なので、観光ガイドさんがお客さんを連れてよく町内を案内しています。一時期、「他郷阿部家」の前まで来ると、ガイドさんが建物の歴史を説明する前に「ここの奥さんは町内別居しているんですよ」と説明していたことがありました(笑)。