オンライン時代の伝える力・聞く力
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2020年に新型コロナウイルス禍が始まり、オフィスに出社していた人たちが日常的にリモートワークをするようになって2年あまり。初期の「いかにリモートで業務を回していくか」という実務面の課題が一段落した今、「チームのコミュニケーションがどうもうまくいっていない」「コミュニケーションの質を上げる取り組みが必要」といった声が多く聞かれるようになっています。
オンラインでのやり取りで、チームのコミュニケーションを円滑にするためにリーダーが意識すべき行動とは。多くの企業や自治体に対してコミュニティづくりやチームビルディング、リーダーシップ開発などの支援を行っている、コミュニティ・アクセラレーターの河原あずささんに教えてもらいました。
オンラインのコミュニケーションでは「魔法」が通用しない
オンラインとリアルのコミュニケーションの最も大きな違いとして、河原さんは「リアルでは『あうん』で取れていたチームの合意形成が、オンラインでは取りづらくなっている」と指摘します。
「これを僕は『魔法が解けた』と表現しています。以前だったら、会議などで声の大きな人が何となく空気をつくって『こうだよね』と言ったことに対して、周りがああ、そうだなあと思えるような現象がありました。声の大きな人というのは複数のパターンがいて、圧の強いタイプの人もいれば、雰囲気をつくるのが上手な人もいます。
そういった、場の空気をリードしていく『魔法』が使えた人が、オンラインでは一転してうっとうしく見えてしまったりします。パソコン画面からはその人がまとう雰囲気やオーラみたいなものは伝わらず、音声と限定された視覚情報だけが届く。そうすると、『あれ、よくよく冷静に聞いてみると、この人って自分の都合で話していない?』みたいなことが分かるようになってしまったのです。
ビデオ会議は客観のツールなので、引いた目で見てしまい、没入できない特性があります。論理の合理性やコンテキストがより重視され、細かいところに議論が行きやすくなる。いつまでたっても『こういうふうに決めよう』という雰囲気が形成されず、なかなか結論が出ないのです。
リアルではリーダーが議論をまとめようとすれば、受け入れる空気が形成されていきましたが、オンラインではそれも期待できません。結果、チームとしてのまとまりが崩れてしまう状況が起きています」
ある人の言葉に対してどれだけ納得感が得られるかは、「日ごろ顔を合わせている回数に比例する」と河原さんは言います。