オンライン時代の伝える力・聞く力
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1伝わらない、悩みが見えない「リモートワークもやもや」
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2自称「リモートでもうまくいっている」チームの落とし穴
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3「褒める・感謝する・○○る」ことで人もチームも変わる
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4嫌がられる1on1 不慣れな上司がやりがちな失敗は?←今回はココ
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5気遣いのつもりが…「おばさん構文」は部下を困惑させる
7割の企業が1on1を取り入れている
リモートワークが増えて、職場の様子が把握しにくくなっています。コミュニケーション不足を放置していたら、部下が「突然退職」なんて事態も……。そんな相互の理解不足を補い、部下の成長を促すのが1on1ミーティングです。リクルートマネジメントソリューションズの調査によると、三大都市圏で従業員100人以上の企業では、約7割が1on1を導入(2022年1月調査)。とはいえ、1on1を行っても成果が見えないという声も聴きます。1on1をサポートするクラウドシステムを開発したKAKEAI(カケアイ)取締役の皆川恵美さんに、1on1を効果的なものにする秘訣を聞きました。
編集部(以下、略) そもそも、なぜ1on1が必要とされているのでしょうか。
皆川恵美さん(以下、皆川) 働く環境は大きく変化しています。働き方の自由度が上がり、個人と企業との関係性も変わってきている。上司は従来型のマネジメントを見直して、部下を「管理」するのではなく1人ひとりを理解して、支援することが求められています。
さらに新型コロナウイルス禍でリモートワークが増え、フロアで自然に生まれていたコミュニケーションが失われつつあります。1on1支援ツールを提供している弊社への問い合わせもコロナ禍以降、顕著に増えています。
―― ただ1on1を導入しても、なかなか教科書通りにいかないという声を聞きます。
皆川 一番多いのは、良かれと思って上司が話し過ぎること。よくあるのが部下の話を少し聞いただけで、自分の経験談を語って終わるパターンです。部下にとっては「上司が自分の話をして終わった」という印象になります。自分が話し過ぎる傾向にある人は、「相手が話し切ってから自分が話す」と型を決めておいたり、部下の話をメモに取ることを習慣にしたりすると、「聞く」ができるようになっていきます。
また、業務の話に終始してしまうと、普段の業務ミーティングと変わりません。最初は業務の話から入っても、タスクではなく個人に焦点を当てていくことが大切です。
―― 今はハラスメントになることも多いので、上司もどこまで個人的なことに踏み込んでいいか分からず、悩むという声も聞きますが。