Withコロナ時代の 感情マネジメント
コロナ禍での失職と女性の自殺者数増加は無関係か
「新型コロナの影響で在宅勤務に切り替わり、給料が20%カットになったとき、自殺を繰り返していたあの頃の記憶がよみがえりました」
そう話すのは、4度の自殺未遂から再生までの経験を著書に記した、小林エリコさん。低賃金のブラック企業で心を病み、自殺未遂や生活保護受給を経験した小林さんには、2020年に女性の自殺者数が増加したこととコロナ禍が、全くの無関係とは思えないそうです。
厚生労働省自殺対策推進室が2021年1月22日に発表した「警察庁の自殺統計に基づく自殺者数の推移等」によると、2020年1月から12月の累計で、男性の自殺者数は前年比マイナス1.0%の1万3943人に対し、女性はプラス14.5%で6976人でした。特に6月ごろからの増加が目立っています。ここ10年、自殺者数は男女共に減少傾向だっただけに、いま女性の心に深刻な変化が起きているのかもしれません。
「世の中が自粛ムードになって真っ先に収入源を失ったのが、非正規社員や接客サービス業で働く人。これらの仕事は女性が担っていることが多いと思います。私も現在パートで働いていますので、明日はわが身という不安があります。ギリギリの生活をしている人は、これまでも節約など工夫して耐えています。ところがコロナ禍でさらに収入が減り、それによる不自由が増え、人と会う機会も資金も削られたことで、心身のバランスを崩しやすくなっているのではないかと思います」(小林さん)
また、女性の自殺者数増加として考えられる理由は貧困以外にもありそうだと、自傷・自殺対策に取り組む国立精神・神経医療研究センターの精神科医・松本俊彦さんは言います。