「越境」がキャリアを強くする
「越境」の境とは? 本当に境は存在している?
編集部(以下、略) 仲山さんといえば、楽天で唯一のフェロー風正社員(兼業自由・勤怠自由の正社員)として、本業以外でもさまざまな場で活躍する「越境の達人」というイメージです。ネットショップ運営者を応援する仕事をしながら、自ら会社を立ち上げたり、横浜F・マリノスとプロ契約を結んでコーチ向け・ジュニアユース向けの育成プログラムを実施したり。越境の効用は何だと思いますか?
仲山進也さん(以下、仲山) えっと、その前に、そもそも「越境」って何でしょう? 僕が「越境している」ということですけど、自分の周りに線がはっきり引いてあるわけでも、ベルリンの壁みたいなものがそびえ立っているわけでもない。境があるというのは思い込みかもしれないですよね。
僕の感覚では、お客さんとやり取りをする、コミュニケーションをするときは、既に会社の外側にいる感じがします。(自分の)お店の外で、お客さんと立ち話をしているイメージが近いかもしれません。もう外にいる場合、どこまでお店から離れたら「越境している」ことになるかって、よく分からないなと思うんです。
―― なるほど。仲山さんが楽天以外のさまざまなプロジェクトに参画していることを指して「越境」と呼ぶことには違和感があるということでしょうか。
仲山 そうですね。ホームからアウェーに出る感覚、他流試合をしている感覚はあります。他流試合って、知らない道場に行って「試合をしてください」と申し込むイメージですが、プレースタイルは相手の流派に合わせるわけじゃない。今まで自分がやってきたことをベースに、相手のやり方も見ながら合わせていく。逆に言うと「自分は何者なのか」「どんな価値を提供できるのか」がはっきりしてないと、相手側に引っ張られ過ぎてしまいます。
―― では、これまで「ホームひと筋」で働いてきた人がアウェーに出てみようと考えたとき、一歩を踏み出すためのヒントはありますか?