春の花粉の季節が目前に迫ってきました。2022年春の花粉飛散量は、東海以北で昨年よりも多くなると予測されています。つらい花粉の季節を乗り切るには、自分にあった治療法を見つけるのが大事。今は市販薬から抗体医療まで「症状ごとに選ぶ時代」になっています。今年の飛散予測や基本的な対策を紹介した前回に続いて、今回は進化した花粉症治療の最新情報を紹介します。

<アップデート4>
最も強い症状に合わせて選択 最重症には「ゾレア」短期使用も

 最新の鼻アレルギー診療ガイドライン(*1)では発症メカニズムの説明もアップデートされた。国際医療福祉大学の岡野光博教授は「症状を起こす免疫細胞の働きが詳しくわかるようになり、症状ごとにその作用をブロックする治療が行われる」と解説する。

 例えば、肥満細胞から放出され「くしゃみ」「鼻水」を引き起こすヒスタミンをブロックする抗ヒスタミン薬。「鼻づまり」に関与するロイコトリエンなどをブロックする治療薬を加えたのが基本の薬物治療だが、最近ではこれに「ステロイド鼻噴霧薬」も初期から幅広く使われるようになった。

 岡野教授は「鼻粘膜だけに作用することで、副作用の少ないステロイドが登場したことが大きい」と指摘。例えば、本格的に症状が出る前の「鼻が少しムズムズ」する「最小持続炎症」という段階がある。この段階から使用すると症状が出るのを遅らせることができるという。また「ステロイド鼻噴霧薬」は鼻粘膜の知覚神経の反射を抑えることで、「目のかゆみ」にも効果が期待できることがわかった。

(イラスト:朝倉千夏)
(イラスト:朝倉千夏)

 さらに、最重症の治療には抗体医薬である「ゾレア」が2020年から保険適用に。本格的症状は、花粉を認識するIgE抗体が肥満細胞の表面に結合することで始まるが、「ゾレア」はアレルゲンが抗体に結合するのをブロックし症状を改善する。

 ただ、ゾレアは一定条件に合った患者が受けられる治療で治療費も高額になるため、重症でも治療をためらう患者もいるという。岡野教授は「受験生のコンディションを整えるために、必要な期間だけ治療するなどのケースもある。重い症状で困っている人は、ぜひ耳鼻咽喉科で相談してほしい」と話している。

花粉症(鼻炎)の症状が現れるメカニズムと治療・対策法
花粉症(鼻炎)の症状が現れるメカニズムと治療・対策法
最新ガイドラインの図を簡略化して紹介。侵入したアレルゲンの第一発見者は樹状細胞で、情報をヘルパーT細胞に伝える。ヘルパーT細胞の指令でB細胞は花粉を認識する抗体を放出し、抗体を表面にまとった肥満細胞がアレルゲンをキャッチすると、まずはヒスタミンを放出しくしゃみ、鼻水で花粉を鼻から排出しようとする。さらにロイコトリエンなど多種の炎症物質を放出することで鼻粘膜に炎症が起きて鼻づまりを引き起こす。
*1 「鼻アレルギー診療ガイドライン2020年度版(改訂第9版)」