呼吸は「鼻で」が正解 口呼吸では代替できない

「鼻がつまっていても、口で呼吸できればいいのでは?」と思う人も多そうだが、これは間違いだ。「本来、呼吸は鼻でするのが正常な状態。鼻呼吸は、口呼吸にはないさまざまな役割を担っているため、口呼吸で代替できないのです」。

 鼻には息を吸ったり吐いたりする「呼吸器」としての機能と、匂いなどを感じる「感覚器」としての機能がある。このうち生命維持に直結する呼吸機能において、鼻は(1)空気中のほこりや細菌などの有害物質を取り除く「濾過(ろか)機能」、(2)吸い込んだ空気の温度や湿度を調整して肺の環境を一定に保つ機能、(3)のどから肺までの空気の通路を広げる機能、(4)血液への酸素の取り込みを促進させる機能──の4つを担っている。口呼吸の場合、空気がのどを通って肺に入ることになるが、のどにはこの4つの機能はない。

 特に、睡眠の質の低下と関係するのは(3)と(4)の機能だ。「鼻の粘膜にはセンサーがあり、神経反射を起こして肺の空気の出入りを促す役割があります。寝ている間に鼻がつまって口呼吸になると、このセンサーがしっかり働かなくなってしまいます。また、鼻呼吸だと、鼻腔などの粘膜で産出される一酸化窒素が、肺に届き、肺の血管を広げて酸素の取り込みを促しますが、口呼吸だと肺への一酸化窒素が減少してしまうため、血中の酸素濃度低下にもつながるのです」。

実は気づきにくい睡眠中の鼻づまり

 睡眠中に起きる鼻づまりには、本人が気づきにくいという問題もあるという。
 あまり知られていないが、鼻づまりは夜間に症状が重くなりやすい傾向があるのだ。「鼻の粘膜のスポンジ状の血管は日中に交感神経が活性化されると収縮しますが、夜間は緩みやすくなって血液をためやすくなります。つまり、鼻は日中に通りが良く、就寝中は通りが悪くなりやすい仕組みを持っているのです」。日中はさほど鼻づまりを感じないという人も、注意が必要だろう。睡眠中に鼻がつまる「かくれ鼻づまり」が起きていないか、チェックリストで確認しよう。

気づいていない人も多い! 「かくれ鼻づまり」 チェックリスト
□ いびきをかくことがある
□ 口を開けて寝ている(うっすら開いている場合も注意。特に早朝)
□ 睡眠中に呼吸が止まることがある
□ 夜中に目を覚ます
□ 寝起きが悪い
□ 朝起きたときに疲労感が残っている
□ 朝起きたときに口やのどが渇いている
□ 日中に口で呼吸をしていることがある
□ 昼間に眠くなる
□ 集中力に欠けたり、集中できる時間が短かったりする
□ 自覚症状の有無を問わず、「鼻炎」と診断されたことがある
□ 鼻水をよくかむ
□ 匂いに鈍感だと感じることがある
□ あごが小さく、歯並びが悪い
□ ぜんそくや気管支炎など、気道粘膜のトラブルを起こしやすい
いびきをかくことがある人は、睡眠中に鼻づまりが起きている可能性が高い。このほか、寝起きの疲労感や日中の眠気がある場合や、あごが小さく歯並びが悪い場合などにも鼻づまりによる睡眠障害の可能性が考えられる(チェックリストは黄川田さんによる)。