どんな食事が病気の予防になるの? また、どんな習慣がアンチエイジングにつながるの? 世界中で進む、“健康”にまつわる研究について、注目の最新結果をご紹介します。
よく眠る、よく噛む……そんなちょっとした生活習慣がダイエットに役立つかもしれません。このほど発表された結果では、「いつもより長く眠る」「飲み物でもよく噛んで味わう」ことで、エネルギー摂取量が減ったり、エネルギー消費量が増えることがわかってきました。
よく噛んでよく味わうと、食後の代謝量が上がる
よく噛んで、よく味わって摂取したほうが、食事をしたときに発生する代謝量は高くなり、エネルギー消費量も増えることが、早稲田大学と国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所の研究グループによって明らかになった。
18~30歳(平均23歳)の男性11人に、3種類の飲み方で、ココア味の飲料200ml(200kcal)を20mlのカップに分けて10杯を5分間で飲んでもらった。
3種類の飲み方は以下のとおり。
(1)【対照群】20mlの飲料を30秒ごとに普通に飲んだ。
(2)【味わう群】同じ飲料を、今度は味わうように、口の中に30秒間入れたままにしてから飲み込んだ。
(3)【よく噛む群】同じ飲料を口の中に1秒に1回の割合で30秒噛んでから飲み込んだ。
3種類の飲み方はそれぞれ別の日に実施された。
摂取前と摂取後90分まで、呼気ガス分析器で酸素摂取量を測定して、エネルギー消費量を算出。また食事をしたときに食べ物の消化や吸収に伴って発生する熱(食事誘発性熱産生=DIT)を、エネルギー消費量から安静時のエネルギー消費量を引いて求めた。
この結果、味わう群とよく噛む群の酸素摂取量とDITは、対照群に比べて高かった。また摂取後90分間でのDITは、対照群は平均3.4kcalだったが、味わう群は5.6kcal、よく噛む群は7.4kcalと増加していた。
研究では心電図や超音波を用いて、心拍数や血流の速度なども測定したところ、胃や食道、肝臓などに血液を送る腹腔動脈の血流が、対照群に比べて、味わう群とよく噛む群では増加し、消化管の運動が活発になっていたこともわかった。
研究グループによれば、ゆっくり食べることでDITが上昇することは知られていたが、食べ物の大きさの影響があるのではないかといわれていた。今回の結果から、液体でもよく噛むこと、よく味わうことの効果が明らかになり、噛んでいる時間や味わう時間といった口の中の刺激が重要であることが確認された。
続いては、睡眠時間についての研究を紹介しよう。