同じような太めの体格でも、単なる「肥満」に該当する場合と、治療が必要な「肥満症」に該当する場合がある。両者の違いは一体何だろう。仮に肥満症と診断された場合、具体的にどんな治療が必要になるのだろう。また、今年になって肥満や肥満症の薬が相次いで承認されているが、自分はそれを使ってラクにやせられるのだろうか。気になる人も多い肥満、肥満症について、2022年12月に日本肥満学会が発行した「肥満症診療ガイドライン2022」のポイントも踏まえ、前編、後編の2回にわたって分かりやすく解説する。

肥満による健康障害がある人が「肥満症」
「肥満」と「肥満症」の違いは何か、自分は「肥満」と「肥満症」のどちらなのか。まずはそこが気になる人が多いだろう。
日本肥満学会では、2000年に「肥満症」のガイドラインを策定。この2つを区別した理由を「体重を減らすことにメリットがある、つまりやせるべき人を選び出す」ためだとしている。具体的に、最新の「肥満症診療ガイドライン2022」では、「脂肪組織に脂肪が過剰に蓄積していると考えられる状態で、BMI(*1)が25以上35未満である場合」を「肥満」と定義。その中で「肥満に起因ないし関連する11の健康障害(表1)を合併している場合を「肥満症」としている。同様に、BMI35以上を「高度肥満」、その中で健康障害を合併している場合を「高度肥満症」としている。
健康障害を伴っていなくても腹部CT検査などで内臓脂肪面積が100平方cm以上あり、内臓脂肪型肥満と診断される場合も、将来、合併症を伴うリスクが高いため「肥満症」や「高度肥満症」と診断される。

