共感できない、自分でもあきれるほどこだわりが強い、自己管理ができない…“発達障害”の基準には満たないものの、生まれつきの特性で生きづらさを感じている「発達障害グレーゾーン」の人はたくさんいる。障害レベルではないのになぜ生きづらいのか。対処法はあるのか。この分野に詳しい岡田クリニックの岡田尊司院長に話を聞いた。

 近年、「発達障害」という言葉を日常的に耳にするようになった。発達障害とは生まれ持った脳の機能により、コミュニケーションが苦手、こだわりが強い、ミスやもの忘れが多いといった特性が強く出て、日常生活に困難が生じるものだ。

 発達障害は、主に、こだわりの強さと社会的コミュニケーション障害が特徴のASD(自閉スペクトラム症)、不注意や多動が主な特徴となるADHD(注意欠如・多動症)、ある領域の学習能力だけが極端に弱いSLD(限局性学習症)などに分類される。

ASD

(自閉スペクトラム症)

同じ行動パターンへのこだわりと社会的コミュニケーション障害を併せ持つ。行動パターンは、同じパターンの運動や所作を繰り返し行う常同運動、同じ行動や思考への執着、特定の対象への強い関心、感覚過敏や鈍感さという4つの症状のうち2つ以上が該当する。


ADHD

(注意欠如・多動症)

不注意、多動・衝動性が主な特徴で、ミスを連発したり、1つの課題にすぐ飽きてほかのことをしたり、時間管理ができず課題の期限が守れなかったりする。この15年ほどで有病者の数は2倍に増えている。


SLD

(限局性学習症)

知的能力は正常範囲だが、読み書きや計算など特定の領域の学習だけが苦手な人。苦手な領域が1つの場合といくつかにまたがる場合がある。ある能力に優れていることもあり、芸術家などにこの傾向を持つ人が少なくない。