頭痛、めまい、倦怠感、不眠、後鼻漏――全身のさまざまな不調の原因に「慢性上咽頭炎」が関わっているかもしれない。鼻と喉の境目にある「上咽頭」は、自律神経のコントロールに密接とされている。上咽頭周辺の痛みや症状だけでなく、自律神経の乱れ、さらには自己免疫異常による症状を引き起こす場合もあるという。上咽頭の知られざる実態とケア方法を2回に分けて専門家に聞いていく。
のどの違和感があって首すじを押して痛むなら慢性上咽頭炎かも

耳の下の「胸鎖乳突筋」の付着部付近は、上咽頭とほぼ同じ高さ。この部分を指で押し、痛みや筋肉のハリがあれば慢性上咽頭炎の可能性がある。
上咽頭(じょういんとう)は左右の鼻から吸った空気が合流する場所。鼻の奥、喉の上部に位置するため、口を開けても見ることはできない。
一般にはあまり知られていない上咽頭だが、堀田修クリニックの堀田修院長は「心身の健康維持に重要な免疫系や自律神経系とのかかわりが深く、上咽頭の慢性的な炎症が、全身のさまざまな不調につながることがわかってきている」と話す。
慢性上咽頭炎とは

上咽頭の炎症が慢性化してうっ血が残る状態。医学的に認知された病名ではないが「原因不明の体調不良を訴える人の多くに見られる」(堀田院長)。(写真提供:田中耳鼻咽喉科・田中亜矢樹院長)