高齢化とともに国内における骨粗しょう症の患者数は1000万人を超え、転倒による骨折で「寝たきり」になるリスクを高めている。かつては有効な薬物治療が少なかったが、2010年の「テリパラチド」、2019年の「ロモソズマブ」の登場で治療は大きく変わり、複数の治療薬を順番に使っていく「逐次療法」も効果を上げている。後編では、鳥取大学医学部保健学科教授で日本骨粗鬆症学会の副理事長を務める萩野浩氏に最新の薬物治療の進め方や効果を紹介してもらうとともに、気になる骨の健康や治療についての疑問に「一問一答」形式でアドバイスしてもらった。

新薬の登場で骨粗しょう症の治療はどう変わった?(イラスト=123RF)
次々と新薬が登場したことで骨粗しょう症の治療が変わった
私たちの骨の組織には、骨の代謝を制御する骨細胞が無数に存在し、骨を壊す働き(骨吸収)と骨をつくる働き(骨形成)のバランスをとっている。そして骨形成より骨吸収が上回ると高齢者の骨折リスクを高める骨粗しょう症になるが、バランスを保つ体のメカニズムはまだ詳しく分かっておらず、骨粗しょう症の治療は進んでこなかった。
しかし、2001年以降、次々と新薬が登場し「骨粗しょう症による骨折のリスクを下げる薬物治療」が大きく進歩した。新薬は「骨吸収の抑制が主な薬剤」「骨形成の促進が主な薬剤」「以前から使われてきた薬剤」に分類される。前編で紹介した治療薬を含めた「骨粗しょう症と闘える薬」の最新のラインナップは以下のようになる。
