どんな食事が病気の予防になるの? また、どんな習慣がアンチエイジングにつながるの? 世界中で進む、“健康”にまつわる研究について、注目の最新結果をご紹介します。

 今回紹介するのは、いまや当たり前となったリモート会議やSNSの影響について。「SNSを1週間やめたら幸福感が上がった」という調査と、大規模な研究により導き出された「アイデア出しには対面会議、アイデアを選ぶだけの作業にはリモート会議でもいい」という結果だ。

SNS(ソーシャルメディア)の使用を1週間やめてみたら……

 SNSの使用を1週間やめた結果、幸福感が向上し、うつ症状や不安感が軽減することが、英国の研究で明らかになった。

SNSを1週間やめるとどんな変化が…?
SNSを1週間やめるとどんな変化が…?

 参加したのは18歳以上で毎日SNSを使用している154人(平均28.9歳)。うち女性が62%、学生が49%を占めた。

 SNS(Facebook、Twitter、Instagram、TikTok)の使用を1週間中止する群と通常どおり使用し続ける群(対照群)にランダムに分けた。試験の前後で幸福感、うつ症状、不安感に関する質問票を電子メールで送り、参加者は回答して返信した。

 幸福感は、14項目からなる質問票(Warwick-Edinburgh Mental Well-being Scale)により1~5点でスコア化した。うつ症状は、8項目の質問票(PHQ-8)を用いて0~3点で評価した。合計が0~4点はうつ症状がない、5~9点は軽度のうつ症状、10~14点は中程度のうつ症状、15~19点は中重度のうつ症状、20~24点は重度のうつ症状を示す。不安感は、7項目の質問票(GAD-7)を用いてスコア化し、合計が0~4点は不安感がない、5~9点は軽度の不安、10~15点は中程度の不安、16~21点は重度の不安と評価した。

 この結果、SNS中止群は、幸福感が介入前の46.0点から介入後は55.9点に上がったが、対照群はほぼ変わらなかった。介入前のスコアや年齢、性別で調整した結果、SNS中止群は対照群に比べて、幸福感は平均で4.9点高く、有意に改善した。

 うつ症状はSNS中止群では介入前の7.5点から介入後は4.8点に減少し、対照群に比べて2.2点低かった。不安感もSNS中止群では介入前の6.0点から介入後は3.9点に減り、対照群に比べると1.7点低く、改善したことが示された。

 なお参加者の介入前のSNS使用時間は、自己申告で中止群は週当たり平均510分、対照群は485分、対照群は1週間後も週446分だった。

 研究者らは、SNSの使用を1週間中止することは、幸福感、うつ症状、不安感の有意な改善につながるとし、将来的には対象の集団を広げて、長期的な影響を調べる必要があると述べている。

 また中止群でうつ症状や不安感が減少したのは、コロナ関連のニュースなど、ネガティブな情報を検索し続けること(doomscrolling)がなくなったことに関連しているかもしれないとしている。

(データ:Cyberpsychol Behav Soc Netw. 2022;25(5):287-293.)
※参加者の平均年齢は、アブストラクトと結果では数字が異なり、結果の方を表記した