「じんましん」は多くの人が経験する症状だが、実は病気の実態は複雑だ。汗ばむ季節になると症状が出やすくなる場合もあるし、衣服のこすれが原因になることも。また、じんましんを繰り返す体質の人もいる。基本的に症状は1日のうちに消え、多くの場合は命に関わることはないが、症状が唇、口腔内などに広がると気道の粘膜が腫れて呼吸困難を起こすこともあるため、救急車を呼ぶ必要もある。「じんましんは体質で治療法がない」とあきらめている人もいるかもしれないが、近年、重症の人を対象とした薬も登場しているので、専門医に相談したい。

プクッと赤く膨れ24時間以内に跡形もなく消失する

写真はイメージ=123RF
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 「じんましん」という言葉を知らない人はいないだろう。この言葉を聞き、嫌いな人にハグされて全身にプツプツと発疹ができるという一昔前の少女漫画のシーンを思い浮かべる人もいるかもしれない。じんましんは、一生のうちに1度以上経験する人が5~10人に1人いるというありふれた病気の一つだが、この病気について正しく理解している人は多くないかもしれない。

 この記事の担当編集者Oは、昨年、突然皮膚の一部が赤くプクッと膨れ驚いた。かゆいので嫌だなと思っていると、円形の発疹が増えて広がり、くっついて赤い世界地図のようになってしまった。じんましんは漫画のようにプツプツのようなものだと思っていたため「もしかしたら危険なアレルギー反応かもしれない」と不安に襲われた。幸い発疹は数時間で治まり、後日、皮膚科で相談してじんましんだったことが分かり安心したという。

じんましんによる発疹。複数の発疹が重なって地図のように広がることもある。(C)123RF
じんましんによる発疹。複数の発疹が重なって地図のように広がることもある。(C)123RF

 横浜市立大学附属病院皮膚科の猪又直子准教授は「じんましんによる発疹は、皮膚が蚊に刺されたときのように赤く膨れ、かゆみを伴います。小さなものは小豆大ですが、より大きな発疹が複数重なって地図のように広がることもあります。しかし、基本的には数時間で、長くても1日以内に“跡形もなく”消えてしまいます。こうした経過をたどる発疹は、じんましん以外にありません」と解説する。逆に1日たっても症状が改善しない場合はじんましんではない可能性もあるので皮膚科で相談したい。

皮膚の肥満細胞からヒスタミンが放出されて発症

 発症原因が多様なことも、じんましんの特徴だ。衣服のこすれた部分やベルトで圧迫された部分が赤く膨れる「物理性じんましん」、汗をかくと現れる「コリン性じんましん」、特定の食物や医薬品が原因の「アレルギー性じんましん」などは、原因が特定できる「刺激誘発型のじんましん」と呼ばれるが、原因が特定できない「特発性のじんましん」もある。

図1 主なじんましんの種類
図1 主なじんましんの種類