近年、海洋汚染源としてその問題が注目されているマイクロプラスチック。実は大気中にもさらに微細なサイズのものが漂い、肺の奥にまで到達する可能性が懸念されています。大気中のマイクロプラスチック研究の第一人者、大河内博教授に詳しく聞きました。
大気中マイクロプラスチック研究の第一人者に聞く、健康への影響
・大気中にも検出! マイクロプラスチックの問題点とは?【1】←今回はココ
・肺にたまる?大気中「マイクロプラスチック」の健康への影響は【2】
マイクロプラスチックは大気中にも漂っている
私たちの生活に欠かせないプラスチック製品。ポリエチレン(レジ袋やラップ)、ポリプロピレン(文房具、耐熱容器)、PET(ペット)=ポリエチレンテレフタレート(ペットボトル、フリース素材)などが代表的だ。

捨てられたプラスチックが劣化し陸地から河川、海へと運ばれながら分解され、5mm以下のマイクロプラスチック(以下、マイクロプラ)となって海洋を汚染、海洋生物の体に取り込まれていることが話題となったが、「さらに微細なサイズのマイクロプラが大気中にも漂い、人体への影響が危惧されている」と話すのは、アース・ドクター(地球医)と称し、環境汚染の研究を行う早稲田大学創造理工学部の大河内博教授だ。
空気から取り込んでいる量は比較的多い

大気中のマイクロプラが国内で話題になったのは2019年。フランスのピレネー山脈の大気中に都市部と変わらない量のマイクロプラが計測され、マイクロプラ汚染が大気を通じて地球上に広範囲で起こっている可能性が示された。同年、世界保健機関(WHO)は「人体に取り込まれる量はわずか」と説明したが、「口から取り込まれるものは排泄されても、呼吸によって肺の奥に到達すると排出されずたまり続ける」と、大河内教授は話す。