近年増えている「大人の食物アレルギー」。健康効果で注目のナッツによるアレルギーが急増しているほか、思わぬところから発生するケースも少なくありません。今回は、前編に引き続き、魚のアレルギー、医療関係者に多いバナナアレルギー、運動やストレスとアレルギーの関係など、大人が知っておくべきアレルギーの新常識を紹介していきます。

 前編で紹介したように、近年、大人になってから発症したアレルギーで困っている人が増えている。成人で多いのは魚や肉、果物や野菜などのアレルギーで、中でも急増しているのが、健康効果で注目の「ナッツ」によるアレルギーだ。

 さらに、大人になってからの食物アレルギーは思わぬところから発生することもある。「交差抗原」によって発症する食物アレルギーで、花粉症の人がリンゴやモモなどを食べてアレルギー症状が出たり、ダニに噛まれた人が獣肉アレルギーを起こしたりすることがある(詳しくは前編を参照)。

 今回は、魚のアレルギーや医療関係者に見られることがあるバナナアレルギー、運動などの日々の生活習慣とアレルギーの関係など、大人が知っておくべきアレルギーの新常識を引き続き紹介していく。

医療関係者はバナナアレルギーに注意

 肌に触れるものが食物アレルギーの原因となることも。その代表的な例が、「ラテックス-フルーツ症候群(LFS)」だ。

 ラテックスアレルギーは日本人には多くないものの、職業柄、ラテックス手袋を多用する医療従事者や美容師、アトピー性皮膚炎のある人に発症することがあり、「その一部の患者にバナナやアボカド、キウイフルーツ、クリなどで即時型アレルギーを起こす人がいる」(相模原病院臨床研究センター センター長の海老澤元宏さん)。LFSはラテックスアレルギーの約30~50%、バナナやアボカド、キウイフルーツなどの果物アレルギーがある人の11%と推計されている(*1)。

 「ラテックス手袋は、食品や花粉と違って食べたり吸い込んだりしないが、アレルギーを引き起こす抗原は皮膚からも侵入することがある。特にアトピー性皮膚炎や、水仕事などで表皮のバリア機能が低下していると抗原が侵入しやすいので、保湿を怠らないこと」(海老澤さん)。

手荒れも一因に
手荒れも一因に
表皮を覆う角層には外からの異物の侵入を防ぐバリアの役割があるが、水仕事などでひどい肌荒れがあ ったり、アトピー性皮膚炎でバリア機能が低下すると、抗原が入りやすくなる。
*1 J Allergy Clin Immunol. 2001 Dec;108(6):881-90。

“サバアレルギー”はない? 魚アレルギーorヒスタミン中毒の可能性

 サバを食べてじんましんが出たから“サバアレルギー”だという人がいるが、「実はサバだけのアレルギーというのはない」と海老澤さん。「魚もアレルギーの原因となることがあるが、魚肉に含まれるパルブアルブミンというたんぱく質が主な抗原で、この成分は多くの魚に含まれる。1種類の魚にしか反応しないことはない」という。なお、魚アレルギーの抗原は、パルブアルブミン以外にコラーゲンのこともあるという。

 ほかの魚を食べてもまったく問題ないようであれば、鮮度の落ちたサバを食べたことによる「ヒスタミン中毒」の可能性が高い。