うう、酒飲みの気持ちを理解していただき、心底ホッとする。とはいえ、やはり「リスクになる」と意識することが大切なのだ。
具体的にどのように意識するのかというと、「量、または頻度のどちらか妥協できるほうを選択し、セルフコントロールしましょう」と松尾さん。
量に関しては、「1日23g以上飲む人のリスクが1.74倍」なので、これより少なく抑えるのが目安になる。厚生労働省の「飲酒のガイドライン」によると、節度ある適度な飲酒は「1日平均20g程度」であり、女性はその2分の1か3分の2が適当であるとされている(*1)。
いや、もっと飲みたいぞ、という方は、頻度のほうを妥協しよう。週の中で休肝日を設ければ、1日20gを超えてしまうときがあってもいい。ただその場合でも、過去の記事でも紹介したように、週に150g程度に収めるのが望ましいと考えられる(参考記事「大量飲酒は『脂肪肝』にまっしぐら」)。
私はこの取材を機に、自分が飲む量をなるべく正確に把握するようになった。日本酒は、1合きっちり入るカップを使って飲む。目分量だと酔った勢いも手伝って「あともう少し飲んでもいいか」とつい甘えが出てしまうが、この方法だと飲み過ぎを防ぐことができる。ビールの場合は1日にロング缶1本とした。
頻度に関しては、試験的に「週末だけ飲んでもいい」というマイルールを作って、休肝日を「週5日」にしている。その代わり、ウイークデーはノンアルコールビールを飲むことにした。最初は物足りないと感じたが、3日目を過ぎたらちょっと慣れてきた。
週末も、最初にノンアルコールビールで喉を潤してから酒を飲むようにすると、飲み過ぎることがないと気づいた。週末2日間の酒量のトータルは日本酒に換算して4合瓶1本。1週間で考えれば、「適量」と言ってもいいのではないだろうか。
大豆は乳がんのリスクを下げる「可能性あり」
酒量や飲む頻度を意識した上で、次に知りたいのは酒と一緒に食べるおつまみである。「乳がんのリスクを下げる」というエビデンスがある食べ物はないものだろうか?
「あります。それは大豆です。国立がん研究センターの『がんのリスク・予防要因 評価一覧』にもあるように、大豆は現在、食品の中で唯一『(リスクを下げる)可能性あり』という評価が出ています」(松尾さん)
