枝豆のほか、納豆や豆腐、厚揚げ、大豆もやしなど、大豆を使ったつまみは多い(写真はイメージ=123RF)
枝豆のほか、納豆や豆腐、厚揚げ、大豆もやしなど、大豆を使ったつまみは多い(写真はイメージ=123RF)

 大豆! 大豆といえば枝豆、納豆、豆腐、厚揚げ、大豆もやしなどなど、酒のアテ(つまみ)にぴったりな食品ばかり。しかも低カロリーで高たんぱくなので、肥満予防にもなるのではないかと期待したい食品だ。

 しかし大豆と聞くと、気になるのは大豆に含まれているポリフェノールの一種、イソフラボンである。イソフラボンは、主な女性ホルモンであるエストロゲンと似た作用を持つことで知られている。前回の記事で、「エストロゲンにさらされる期間が長ければ長いほど、そしてエストロゲンの量が多ければ多いほど、乳がんの罹患率が上がる」と伺っていた。イソフラボンによるリスクはないのだろうか?

 「エストロゲンと似た作用があるイソフラボンは、その化学構造もまたエストロゲンとよく似ています。イソフラボンは体内に存在するホルモンの受け皿である『女性ホルモンレセプター』に結合することで、エストロゲンがそれに結合するのを阻止します。これによってエストロゲンの働きを抑え、乳がんの発生や進行を遅らせると考えられているのです。イソフラボンを含んだ食品は、特に女性ホルモンの分泌が乱高下する閉経前の女性に積極的にとってほしいですね」(松尾さん)

サプリはあくまでも「補助的」に

 おお、これはまさに酒好きの女性にとっての救世主! イソフラボンといえば、サプリメントも出ているので、これを活用する手もありそうだ。どうでしょう、先生。

 「サプリメントはあくまで“補助”と考えてください。サプリをとることを否定はしませんが、カラダにいいからといってたくさんとればいいということではありません。食品からならとり過ぎることはあまりありませんが、サプリだととり過ぎる可能性があります。お酒同様、適量を意識しましょう」(松尾さん)

 なるほど、いくらカラダにいいとはいえ、「多ければいい」ということではないのだ。

 ちなみに、最近は大豆イソフラボンに含まれるダイゼインという成分が腸内細菌によって代謝されて生み出される「エクオール」のサプリメントもある。これについても、イソフラボンのサプリ同様、「補助的なものとして考えたほうがいい」と松尾さん。大豆を使った食品がなかなかとれないときなど、ライフスタイルに合わせ、うまく活用したい。

 ところでおつまみといえば、枝豆と並んで手軽な「チーズ」も定番だが、一部の週刊誌やネット記事において、「チーズなどの乳製品は乳がんの罹患リスクを上げる」という情報を目にすることがある。実際にはどうなのだろう?

 「先に挙げた国立がん研究センターの『がんのリスク・予防要因 評価一覧』を見ると、牛乳・乳製品は『データ不十分』という評価になっています。日本人が年間にとる乳製品の量は欧米に比べるとかなり少ないので、このような評価になっていると思われますが、たまにおつまみとしてチーズを1~2片食べるくらいなら、そこまで神経質にならなくて大丈夫です」(松尾さん)

 チーズ好きな人も、これを聞いてホッとしたかもしれない。

 もう1つつまみで注意したいのは、肥満の原因にならないようにすることだ。前回も触れたように、肥満は閉経前の女性にとって乳がんのリスクを上げる「可能性あり(BMI30以上)」で、閉経後では「確実」にリスクを上げると評価されている(*2)。