天然の“やせホルモン”として注目されている「GLP-1」。前回ご紹介した通り、食欲を抑え体脂肪を減少させる作用に加えて、全身の臓器で健康効果を発揮することも明らかになっています。では、GLP-1の分泌量を増やすにはどうすればいいのでしょうか? そのポイントは食事にあります。今回は“やせホルモン”を増やす食べ方の3カ条を紹介しましょう。

「GLP-1」分泌の刺激になるのは?

GLP-1のスイッチ
きっかけは食事 食物繊維がやせるカギ!

 GLP-1を分泌するのは腸粘膜にあるL細胞。食事で取り込まれた糖やアミノ酸、脂肪酸といった3大栄養素が分泌刺激となる。(下図)。つまり、どんな食事でもGLP-1は出るというわけだ。ただし、分泌されたGLP-1はすぐに分解され、数分で半分になってしまう。

3大栄養素すべてがGLP-1分泌の刺激になる
3大栄養素すべてがGLP-1分泌の刺激になる
小腸下部から大腸上部にかけての腸粘膜にあるL細胞の表面には、糖、アミノ酸、脂質、酢酸などが結合する受容体があり、それぞれの栄養素が受容体に結合するとそれが刺激となりGLP-1が分泌される。

 「GLP-1をより長く、より多く分泌させるのが食物繊維やオリゴ糖類だ。立役者となるのは大腸の善玉腸内細菌で、食物繊維などをエサ(発酵源)に酢酸や酪酸といった短鎖脂肪酸を作る。これが大腸のL細胞を刺激してGLP-1の分泌を促進する」と横浜総合病院糖尿病センターの田中逸センター長はいう。この善玉腸内細菌による食物繊維などの「発酵」は時間がかかるため、その間、GLP-1が出続けるというわけだ。

 ちなみに、酢酸などの短鎖脂肪酸には、体内に取り込まれると食欲を抑えたり脂肪燃焼を促す作用がある。