どんな食事が病気の予防になるの? また、どんな習慣がアンチエイジングにつながるの? 世界中で進む、“健康”にまつわる研究について、注目の最新結果をご紹介します。

 今回紹介するのは、食に関する2つの研究です。1つは、「ベジタリアンの女性は股関節骨折のリスクが高い」、もう1つは「遅い時間に食べると太るメカニズムが明らかに」です。

骨の健康に肉や魚が大切? ベジタリアンの女性は股関節骨折のリスクが高かった

 肉も魚も食べないベジタリアン(菜食主義者)は股関節骨折を起こしやすい可能性が、英国女性コホート研究*で明らかになった。

*コホート研究とは、最初に健康な集団の生活習慣を調べて、その後、疾病の発生状況を追跡する研究。
野菜をしっかり食べるのは大切だが…
野菜をしっかり食べるのは大切だが…

 研究に参加したのは35~69歳の女性。食生活について、1995年から1998年に217項目からなる食物摂取頻度調査票(FFQ)を使って、肉と魚、卵、乳製品の摂取状況を尋ねた。「定期的に肉を食べる人」(週に5皿以上)、「ときどき肉を食べる人」(週に5皿未満)、魚は食べるが肉は食べない「ペスカタリアン」、卵や乳製品を食べるが肉と魚は食べない「ベジタリアン」、肉や魚、卵、乳製品を食べない「ビーガン」にグループ分けした。ビーガンは参加者の数が少なかったため、解析ではベジタリアンに含めた。

 参加者の体格指数(BMI)は、ベジタリアンは平均で23.3(kg/m2)、ペスカタリアンも23.3(同)だが、ときどき肉を食べる人は24.1(同)、定期的に肉を食べる人は25.3(同)とやや大きかった。定期的に肉を食べる人は、食事からたんぱく質、ビタミンD、ビタミンB12の摂取量が多く、ベジタリアンでは低かった。カルシウムの摂取量はどのグループでも同程度だった。

 観察期間の中央値は22.3年で、参加者2万6318人のうち、英国の病院統計データベースで確認された股関節骨折は822人(3.1%)だった。BMIや喫煙歴、アルコール摂取頻度などで調整した結果、定期的に肉を食べる人に比べて、ベジタリアンでは股関節骨折のリスクが33%高かった。ときどき肉を食べる人と、魚は食べるペスカタリアンでは違いはなかった。

 ベジタリアンの女性で股関節骨折のリスクが高かった理由として、平均のBMIが低かったことや、骨の健康に重要な動物性食品に豊富な栄養素の摂取量が少ないためとしている。これまでの研究で骨量や脂肪量、筋肉量が多いほど股関節骨折リスクは低いことから、体重管理がベジタリアンの股関節骨折リスクを軽減する上で重要になるかもしれないと研究者らは述べている。

 ベジタリアン人口は米国では5%、英国は3%、インドは30%であり、世界的にベジタリアンは増加している。研究者らによれば、糖尿病や心疾患、がんなどの病気がベジタリアンで少ないことや、ベジタリアンの食生活は環境への影響が少ないといわれているためだという。

データ:BMC Medicine 2022; 20, 275.