夏以降、感染者が急激に減り、以前の日常を取り戻す日も遠くないかも──。そんな期待をあざ笑うかのように新たな変異ウイルス「オミクロン株」が登場した。
せっかく打ったワクチンは効くの? もし感染したら後遺症のリスクは? 3回目のワクチンは必要? のみ薬は?――そんな疑問について専門家に話を聞いた。新型コロナ対策の情報をきちんとアップデートして、今冬の感染拡大リスクに備えよう。(※この記事は2021年12月初旬時点の情報です)

第6波はオミクロン株? 今までのウイルスとの違い
夏以降、新型コロナウイルスの感染者数も減少し、少しは日常生活を取り戻しつつあるなか、新たな変異ウイルスが登場した。南アフリカ政府が新たな変異ウイルスと発表してほんの数日で瞬く間に世界で感染が確認され、日本国内でも早々に感染者が見つかっている。
オミクロン株と名づけられた変異ウイルスは、細胞内に侵入するカギとなる、ウイルス表面のスパイクたんぱく部分に30の変異がある。そのため従来のワクチンで効くのか心配されているが、ワクチンを供給するファイザー社は、「3回目のワクチン接種で高い効果が得られることが確認された。もし必要な場合は、ワクチンを再設計し、100日以内には供給することもできる」と発表。モデルナ社は、オミクロン株で現行のワクチンの有効性を検証中で、効果が低い場合は新たなワクチン開発を検討。塩野義製薬も、同変異ウイルスに対する追加接種用ワクチンの開発を検討している。
現時点では、オミクロン株は感染力は強いものの、感染しても軽症で済んだという人が多いよう。「たとえ国内でオミクロン株の流行が拡大しなくても、遅かれ早かれ第6波は来ると考えておいたほうがいい。各国の状況を見ても、ワクチン接種で感染者数が収まった後に感染者が急増している。引き続き感染対策を」と東京理科大学生命医科学研究所の久保允人教授はいう。

女性に多い後遺症 記憶力の低下や脱毛が長引く人も
国際医療研究センター国際感染症センターの調査によると、新型コロナウイルス感染症の後遺症は、女性ほど倦怠(けんたい)感や味覚・嗅覚障害、脱毛が多い傾向にあったという。