個人事務所名に込めた思いと新たな自分との出会いへ

 昨年3月に個人事務所を設立。事務所の名前は、「私は挑戦する」を意味するスペイン語の「Desafío(デサフィオ)」。その名の通り、新たな環境に身を置き、「やったことのない経験をしたい」という気持ちが強くなったという。

「独立から2年目に入って、ようやく今の環境にも慣れてきました。今までは出会えなかった世界の人たちとつながることで、私も新しい自分に出会うことができたら」

『SHOWTIME(ショータイム)』は、2021年6月23日~27日、東急シアターオーブ(東京都渋谷区)で開催予定。ブロードウェイミュージカルの名曲を中心に歌とダンスで魅せるエンタテインメントショーだ。
『SHOWTIME(ショータイム)』は、2021年6月23日~27日、東急シアターオーブ(東京都渋谷区)で開催予定。ブロードウェイミュージカルの名曲を中心に歌とダンスで魅せるエンタテインメントショーだ。

 そう話すように、初のファンクラブ「よねさんち」を発足したり、洋服のプロデュースをしたり……といった試みを始めている米倉さん。この春には独立1周年を記念し、感染対策をしながら、都内のライブレストラン「コットンクラブ」でショーを開催した。これまで、東京やニューヨーク・ブロードウェイで何度もステージに立ってきた米倉さんだが、ステージからも観客の息づかいが聞こえそうなほどの小規模なステージに立つのは初めての経験だ。

「あれほどお客様と近い距離で歌ったり踊ったりするなんて、以前は想像もしていなくて。MCも自分でしたのですが、客席のシーンとした雰囲気が怖くて……(笑)。観に来てくださった方に楽しんでもらうために、あれもしなきゃ、これもしなきゃ、と考えるばかりで、私自身が楽しむ余裕はなかったかも。ただ、緊張はしましたが、『私はこういうことがやってみたかったんだなあ』と気づく機会でもありました。同時に、エンタテインメントを成立させるには自分一人では無理なんだな、と実感して。照明、音響、演奏、一緒に踊るダンサー…といろんな人の力を借りて、ようやくステージに立つことができるんですよね。またやってみたい気持ちもあるけど、そのためにはさらなるブラッシュアップが必要ですね」

記念公演の中止。舞い込んだ新たな企画に挑む

 6月からは、城田優さんとの共同プロデュースによる『SHOWTIME』の公演がスタート。米倉さんのライフワークでもあるブロードウェイミュージカル『シカゴ』をはじめとする数々のミュージカルの名曲が、33人のキャストの歌とダンスによって披露される。

「出演予定だった『シカゴ』の25周年記念公演がコロナ禍で中止になってしまって。そんなときにお話をいただき、やりたかったことを届けるチャンスだと即決しました。舞台ができる!というポジティブな喜びだけで、コロナ禍だから……という不安は感じませんでした

 米倉さん自身が選曲や構成、演出を行うのも、今作の見どころ。特にこだわった演目は、名振付師として知られ、『シカゴ』の脚本、演出、振り付けを手がけたボブ・フォッシーのミュージカル作品だ。

「『キャバレー』や『スイート・チャリティー』『パジャマゲーム』など、ずっとやってみたかったフォッシー作品が中心。以前から、『シカゴ』の日本人キャストのみんなと『いつかやりたいね』と話していたんです。今回のステージではもちろん『シカゴ』も踊るのですが、オリジナルの振り付けではなくて、まったく新しい『シカゴ』になります。今は振り付け担当の大澄賢也くんと、どんな見せ方にするかアイデアを出し合っているところ。城田くんとのデュエットも予定しています。中にはドイツ語の曲もあるので、頑張らないと(笑)。みんなとの稽古が始まる前に、一人で歌の稽古を始めています

 打ち合わせでは、舞台への意欲がより高まる、うれしいエピソードも米倉さんの元へ届いた。

「(大澄)賢也くんから、キャストの中に私の『シカゴ』を観てダンサーになると決めた子がいるんだよ、と聞いて驚きました。そんな風に思ってくれる方と一緒に舞台に立てるのはうれしいけれど、ミュージカル経験の少ない私にとっては恐れ多い気もして。もともと私はダンサーでも歌手でもなく、やってやる!という思いだけで舞台に立ってきた人間。今回も“挑戦者”という意識で、本番までに誰よりも練習したいと思っています

米倉涼子(よねくら・りょうこ)
1975年生まれ、神奈川県出身。モデルとして活躍後、1999年に女優へ転身。代表作にドラマ『ドクターX~外科医・大門未知子~』シリーズなど。2019年にはミュージカル『CHICAGO』で日本人女優初となる3回目のブロードウェイ主演を果たす。10月からは代表作になったドラマ『ドクターX~外科医・大門未知子~』(テレビ朝日系)の最新シリーズが放送決定。ファンクラブサイト「よねさんち」が2021年2月にオープン。公式インスタグラム:ryoko_yonekura_0801

取材・文/工藤花衣 写真/石倉和夫 スタイリング/野村昌司 ヘア&メイク/奥原清一