メイクがなんとなく変な気がするけれど、どうしたらいいのかわからないという人は多いはず。現役美容部員・BAパンダさんは、30年来の友人で漫画家の吉川景都さんからそんな相談を受けた。いまさら聞けないメイクの悩みも、友達になら気軽に聞けるし、ズバッと指摘をされても受け止められる。そんな「友達目線のアドバイス」と、身近でわかりやすいマンガがSNSで大バズリ! 2人のやりとりは『メイクがなんとなく変なので友達の美容部員にコツを全部聞いてみた』という本になり、発売3カ月で10万部を突破。誕生裏話と、本に込めた思いを語ってもらいました。
4コマ漫画の投稿に「17万いいね!」、複数の出版社からオファーも
『メイクがなんとなく変なので友達の美容部員にコツを全部聞いてみた』というタイトル、帯の「気づけば5年以上同じメイクのあなたへ」という太字のコピーも刺さる。メイク本なのに、モデル写真がなく全編漫画というのも異例だ。
漫画家の吉川景都さん(以下、吉川さん)のメイクの悩みを、現役美容部員・BAパンダさん(以下、パンダさん)が解決していく過程をまとめたこの本は、メイクのコツだけではなく、なんのためにこのアイテムやツールを使ってこうするといいのか、というメイクのロジックについても、漫画の合間の文章で解説されている。いわばメイクの学習漫画のように、楽しく読み進められるのも魅力の一つだ。
2人は幼なじみで30年来の仲という。書籍化のきっかけは、コロナ禍のオンライン飲み会中に突如始まったメイク指導だったと、漫画家の吉川さんは振り返る。「BAパンダさんとは長い付き合いなんですけど、今までに一度も、メイクの相談をしたこともなければ、アドバイスされたこともありませんでした。パンダさんはメイクのプロですから軽々しく聞けませんし」。
それがコロナ禍になってすぐの2020年4月ごろ、オンライン飲み会でダラダラと話していたときに、何気なく「黙ってると怒ったような顔になるんだよね」といったら、パンダさんから「眉毛だよー」と指摘された。 「メイク道具持ってきなよ、となって描き方を教わったら、怒ったような印象がなくなったんです! そのことを漫画4枚にしてツイッターにあげたら、すごく反響があって。あっという間に17万いいね! がついたのでびっくりしました。しかも、すぐに書籍化のお誘いがきて……」(吉川さん)。
パンダさんも、「17万もいいね! がつくなんて信じられなさすぎて、笑うしかなかったというか……。漫画4枚しかない状態で、どうすんじゃい! て感じでした(笑)」と振り返る。
「BBクリームを顔全体にベタ塗り」からの卒業
本の制作が始まったのは、夏。「本の内容は全部、吉川さんが疑問に思っていたことで、私はそれに答えただけです。メイクが崩れない方法はあるのかと聞かれて教えたら、マジ崩れない!となって。また、アイシャドーは、まぶたに横方向に塗るんじゃなくて、『縦割り』にして塗るといいことや、アイラインはラインを引くというより、まつ毛の間を『埋める』ようにすると失敗しにくいことなど、全部聞かれるがまま答えていきました。そのやり方のコツを吉川さんが漫画にし、私はそのロジックを書く、といった流れです」(パンダさん)。
吉川さんがパンダさんから教わったなかでも、これはすごい! とうなったテクニックは、眉の描き方と、下地クリームやファンデーションの塗り方だったという。
「それまで私はBBクリームを顔全体にベターッとベタ塗りにしていたんですが、肌って、Tゾーンは皮脂が出やすいけど、頬は乾燥しやすいなど、均一じゃないですよね。色も微妙に違ったりする。それなのにBBクリームをベタ塗りしたらムラができて当然だよと言われて、はぁ~ん、確かに、と目からウロコが落ちました」(吉川さん)
とはいえ、BBクリームが悪いわけではない。時短を取るならBBクリームは優れものなのだが、「下地やファンデーションを塗り分けると、完成度が高まります」(パンダさん)。
同様に、スキンケアも1種類で済むオールインワンジェルなどは時短的に◎という。 「でも、肌の調子をより整えたいなら、化粧水と乳液があったほうがベター。皮脂が出やすい部分と乾燥しやすい部分で、使い分けができますから。一長一短なので、普段の日とお出かけの日など、その日にあったやり方ができるのが理想的だと思います」(パンダさん)
なるほど! メイクのプロのパンダさんにしたら当たり前すぎることも、素人には知らないことばかり。読者から寄せられた感想も、「知らないことばかりで目からウロコだった!」という内容がほとんどだったという。「それほど、自己流でメイクしている方が多いということですよね。しかも何年、何十年と……」(吉川さん)。
自分もその一人だったと話す吉川さんも、眉の描き方は学生時代からずっと同じだったが、今やパンダさんのおかげで、流行りの平行眉を基本に、シーンや気分でアレンジを加えられるようになったという。