ポジションを与えられることで人は成長する

中林 イエレン氏は74歳と高齢ですが、学識も人柄も素晴らしく、共和党からも絶賛の声が上がっています。誠実に物事を行う能力がある人だから、政党を超えて誰からも好かれているのです。そういう人が今も現役で実務をこなしているという事実は大きな意味を持ちます。欧州にも同じような女性はいて、2019年に欧州中央銀行総裁に就任したクリスティーヌ・ラガルド氏もその一人。

 日本にはなかなかイエレン氏のような「いぶし銀」のような女性は出てこないですよね。これは今後の課題かもしれません。でも生きていれば赤ちゃんから74歳になる。イエレン氏は、時間をかければ誰もが着々と実力をつけられることのお手本、女性が活躍していることの好事例になるのではないでしょうか。

―― バイデン政権は日本の女性活躍への意識にも影響を及ぼすのでしょうか。

中林 影響は必ずあります。残念ながら、今現在、政府の中枢にいる政治家たちの考えを変えることは難しいですが、希望はある。子どもたちや若者がこのような米国の変化を目の当たりにすることで、いつか日本も変わると思います。

 女性であれ男性であれ、立場を与えられることで、人はさらに成長します。でも、男性に比べて女性は「自分にはできない」という謙虚な気持ちが勝ってしまう人が多いのではないでしょうか。ハリス氏がポジションを与えられて力を発揮している姿を見て、その意識が変わることを期待したいです。

中林美恵子
中林美恵子 大阪大学大学院で国際公共政策の博士号を取得。米国ワシントン州立大学大学院で政治学修士号を取得した1992年に米国永住権を得て、米国家公務員として連邦議会上院予算委員会に正規採用される。在米14年を経て2002年に帰国後、大学の教職や政府審議員、衆院議員(2009年~2012年)などを経て、2013年に早稲田大学准教授、2017年に教授に就任し、現在に至る。米国マンスフィールド財団名誉フェロー。

取材/岩井愛佳(日経WOMAN編集部) 文/樋口可奈子 写真/山口直也(スタジオ☆ディーバ)