クオータ制を導入しなければ、女性の政界進出には時間がかかる

―― なぜ米国ではクオータ制が導入されていないのでしょうか?

中林 米国で女性に一定数の割り当てをすると、必ず「それではLGBTQはどうする?」という議論になります。LGBTQにも割り当てをすると、今度は黒人、その次はヒスパニック系、さらにアジア系をどうするのかという話になる。多様な人々が住んでいる国なので、このような展開になるのは目に見えている。だから、米国での導入は難しいのです。

―― 日本では、結婚しても退職せずに仕事を続ける女性がようやく増え、2019年には専業主婦世帯に比べて共働き世帯が2倍以上の約1200万世帯に上っています。米国の例を見ると、あと10年ほどすれば日本でも政界に進出する女性の数は増えると思われますか?

中林 それくらいかそれ以上はかかると思います。なぜなら、性の平等意識を持って働き始めた人が裁量を持つポジションに就かないと、企業が変わるのは難しいからです。政治が変わるのにはさらにそこから時間がかかりますからね。

―― そう考えると、日本で女性議員を増やすためには欧州のようにクオータ制の導入が必要だと思うのですが。

中林 日本の政界でクオータ制を検討するなら、「女性というお面をつけているだけで本当によいのか」ということを先に考えたほうがいいと思います。せっかくクオータ制を導入しても、女性のために社会を変えるという意識がない人が選ばれるようでは、男女平等に向けた政治ができるか分かりません。本来なら有権者の手で社会を変えてくれる人を選ぶべきです。クオータ制も大事ですが、女性の人数だけを目標とするのではなく、女性の声が広く届くように、市民の一人ひとりが社会参画していく必要があります。