政治分野での女性参画の遅れが課題になっている日本。一方米国では、次期副大統領に女性で初めてカマラ・ハリス氏が就任する見通しです。「私が最後ではない」と語ったハリス氏の演説は大きな話題になりました。米国における女性初の副大統領就任は、日本にどのような影響をもたらすのでしょうか。米国政治に詳しい国際政治学者の三浦瑠麗さんに3回シリーズで聞きました。1回目は、米国初の女性副大統領が誕生することになった背景について解説してもらいます。

「#MeToo」運動で潮目が変わった

日経xwoman編集部(以下、――) 2020年11月3日に実施された米国大統領選挙では民主党指名候補のジョー・バイデン氏が勝利し、バイデン氏が大統領に、そしてカマラ・ハリス氏が女性初の副大統領に就任する見通しです。ハリス氏が副大統領候補に就任する背景をどうみていますか。

三浦瑠麗さん(以下、三浦) 米国大統領選は正副大統領をセットで選ぶものです。人口の半分が女性であるにもかかわらず、これまで米国では主に白人男性たちが統治を担ってきました。バラク・オバマ氏は黒人初の大統領。前回の大統領選ではヒラリー・クリントン氏があと少しのところで大統領の座を逃しました。今回は副大統領ではありますが、いよいよ女性が正副大統領になる時代が到来したということです。

2020年11月7日、大統領選の勝利演説をするカマラ・ハリス氏(写真:AFP/アフロ)

三浦 2008年にオバマ氏が大統領選に勝利した当時はまだ、民主党には「大統領が男性なら副大統領は女性でなければ」という考えがありませんでした。流れが変わったのは2017年に発生した「#MeToo運動」です。米ハリウッドの映画プロデューサー、ハーヴェイ・ワインスタイン氏から性的暴行やセクハラを受けたという女性たちの告発をきっかけに、SNS上で自らが受けた性的な被害に対して声を上げる動きが起こりました。ワインスタイン氏は民主党の支持者として多額の資金援助も行っていたため、民主党にも非難の声が多く寄せられました。

―― 「#MeToo運動」以前の2016年に、ヒラリー・クリントン氏が民主党の大統領候補として立候補しています。これはまだ「女性を候補者に立てよう」という動きではなかったのでしょうか。

三浦 もちろん、クリントン氏の出馬と健闘は大きかったのですが、この4年間に女性をめぐる認識は大きく変化したと言っていいと思います。