政治分野での女性参画の遅れが課題になっている日本。一方米国では、次期副大統領に女性で初めてカマラ・ハリス氏が就任する見通しです。またバイデン政権の主要な広報担当者がすべて女性で固められることも明らかになりました。米国の政治・経済分野におけるジェンダー・ギャップはどこまで解消されているのでしょうか。国際政治学者の三浦瑠麗さんに3回シリーズで聞きました。2回目は、新政権でハリス氏に期待されることや、米国初の女性副大統領誕生が日本にもたらす影響について解説してもらいます。

米国では育休は公的な権利ではない

日経xwoman編集部(以下、――) ハリス氏の副大統領就任によって、米国のジェンダー問題などにはどんな影響が出る可能性がありますか?

三浦瑠麗さん(以下、三浦) 育児休業について大きな進歩があるかもしれません。2020年大統領選挙の民主党候補指名争いに立候補していた白人の女性上院議員、カーステン・ギリブランド氏は「育休取得を国民の権利に」と訴えていました。というのも、米国では州や企業によって育休を認めているケースがあるものの、全国的には公的な権利ではないのです。育休中に受け取れる給付金を雇用保険から出して、育休を国民の権利にすることが、民主党の今の大きなテーマです。

 さらに男女間の賃金格差をなくすよう取り組むことも期待されています。個々の不当な事例については裁判などで争われていますが、政府としてもその格差を埋めるために努力することを明確にしていくでしょう。

2020年11月、バイデン政権発足に向けて全米知事協会執行委と会合するバイデン氏とハリス氏(写真:FP/アフロ)

―― トランプ政権ではなし得なかったことをハリス氏に期待するということでしょうか。

三浦 実はトランプ政権は子育て世代にとって有利な税制改革も行っていました。その一つが子育て控除の拡大(控除額を1000ドルから2000ドルへ)です。民主党はこれを上回る中産階級に対する子育て支援策を打ち出す必要があります。もっとも大統領選と同時に行われた上院選挙では共和党が過半数を取りそうなので、(議会が予算権限を持っていることから)実現は難しいかもしれませんが。

 また、同様に実現が難しくても教育費の問題は取り組む価値があると思います。