子育て支援を経済の成長戦略に

―― 日本の「ジェンダー・ギャップ指数2020」の順位は153カ国中121位で、かなり低い位置にいます。これからの日本には何が必要でしょうか。

三浦 私は第2次安倍政権が行った「女性活躍推進」施策は社会を変えたと思っています。女性の活躍なんて無意味だとか反対だとか言っていた人たちを、経済成長の観点から説得する材料になったからです。当事者である女性やもともと関心があった人にとっては大した施策には感じられなかったかもしれません。でも自民党の保守的な支持者の考えが変わるだけでも、社会の雰囲気に大きな影響を及ぼすのです。

日本のジェンダー・ギャップにおける課題について話す三浦瑠麗さん(オンラインで取材) 
日本のジェンダー・ギャップにおける課題について話す三浦瑠麗さん(オンラインで取材) 

 アベノミクスによって女性の労働投入量が増えて、「女性が働くことは当たり前」という大きな成果が得られました。しかし、課題は残っています。それは、女性の労働者のうち非正規労働者が占める割合がかなり高いという点です。

 非正規労働者は全労働者の約4割を占めていますが、そのうちの7割が女性です。つまり全労働人口の約3割が女性の非正規労働者ということになります。非正規で働く女性たちはコロナ禍で真っ先に雇用を失いました。アベノミクスによって進んだ女性の労働参加も、振り出しに戻ってしまった感があります。今後は「女性の労働投入量を増やす」という「量」の考えから、「女性の賃金を上げる」「雇用の安定を図る」といった「質」を重視する考えに変えていかなければなりません

―― 女性の雇用を安定させるためには、子育て環境の整備は必須です。

三浦 実は諸外国と見比べても日本政府の子育て政策はかなり頑張っているんです。認可保育園等の保育料は3~5歳まで無償化されましたし、内閣府の「ベビーシッター派遣事業」では対象児童1人あたり2200円の割引が、1日1回までの利用ごとに受けられます。

 でも、どんなに制度が充実していても、使い勝手が悪ければ認知されず、利用もされません。例えばベビーシッター派遣事業でいえば、自分の勤務先が制度を利用していないと使えない、チケットも紙で配布され、何カ所も記入しべたべたとハンコを押さなければならないといった使い勝手の悪さが残ります。これは、子育て支援が上から目線の発想から抜け出せていないことの表れではないでしょうか。

 これからは利用者にフレンドリーな制度で、どんどん人の手を借りて育ててくださいという時代。まずは上から目線の発想から抜け出し、子育て支援制度の使いやすさを見直す。そして、経済の成長戦略として、企業の生産性を上げ、女性の賃金を上げるための「成長のサポート」に転換すべきです。

 例えば、企業は接待費を経費に計上できますが、ベビーシッター利用料は経費として損金算入できないケースが多い。アウトソースした保育に関わる費用を損金算入可能な仕組みを導入し、女性が働きやすい社会をつくるとともに、企業の成長を応援すべきです。