ベストセラーになった『ずぼらヨガ』や『すごいストレッチ』で知られるイラストレーターの崎田ミナさん。最新作の『自分の手でときほぐす!ひとりほぐし』では、筋肉や骨などを詳細に描く独自のタッチで、頭のてっぺんから足先までの「ほぐしワザ」をマンガで図解しています。セルフマッサージが初めての人でも実践しやすいように、崎田さん自身が何度も試して厳選したほぐしワザの中から、まずは肩こり改善にお薦めの「深部リンパ節ほぐし」を紹介します。
自分の手でときほぐす「ひとりほぐし」
第1回 ずぼらヨガの崎田ミナが図解 肩こりを「ひとりほぐし」←今回はココ
第2回 背中やお尻も自分でほぐせる「テニスボール整筋」
第3回 不安が消えて自己肯定感が高まる「タッチほぐし」
もともとマッサージを受けるのが好きだったという、イラストレーターの崎田ミナさん。いろいろな施術を受けたり本を買って自分で試したりするなかで、プロの技をもっと自分でもできたらと考えるようになったそう。「自分でほぐす」ときに大切になるのが、刺激する場所や力加減を正確に把握すること。自分の体の中がどうなっていて、どこをほぐしているかわかって行うと、「やみくもにもんだりたたいたりするよりも、ほぐれ具合は格段にアップするのを実感します」(崎田さん)。
そこで、最新刊「ひとりほぐし」では、大学教授から鍼灸師まで、専門家7人に習ったほぐしワザを、筋肉や骨の位置を詳細に「見える化」する崎田さん独自のタッチで図解。その最新刊を元に、3回シリーズでほぐしワザを紹介します。第1回は、肩こりと二の腕のむくみ解消に効果的な「深部リンパ節ほぐし」です。
凝りやむくみに関係する「深部リンパ節」と、全身をめぐるリンパの関係は?
足首まわりに残る靴下のあとや肩の重だるさなど、「むくみ」や「だるさ」に関係しているというリンパ。リンパに働きかける方法には、医療の現場でも用いられる「リンパドレナージュ」という手技がありますが、自分で行うほぐしワザでも、リンパのしくみを踏まえた方法なら、だるさやむくみを改善することができます。
肩こりのほぐしワザを紹介する前に、まずは知っているようで知らない「リンパ」についておさらい。今回は「深部リンパ節開放」という、リンパの流れを効果的に促す手技を開発した、夜久ルミ子さん(※注)に教わりました。
全身のリンパの流れをよくするために、「深部リンパ節ほぐし」でアプローチするのは、リンパ管が集まる‟リンパの関所”ともいえる「リンパ節」。
リンパ管は、血管の静脈に沿ってほぼ全身に張りめぐらされています。リンパ管を流れるリンパ液の働きは、細胞から放出された老廃物や脂肪などのうち、静脈で回収されなかったものを回収すること。それがリンパ液として心臓に向かって流れていき、中継地点であるリンパ節でろ過されながら、最終的に左の鎖骨下にある‟リンパ液の最終出口”である鎖骨下静脈で、血液と合流します。
血液となって心臓に入った後は、例えば腎臓を経由して膀胱(ぼうこう)から尿として、汗腺からは汗として、老廃物や水分の形となって体の外へと出ていきます。
リンパ管は、筋肉や内臓のまわりなど体の深いところ(深部リンパ管)や、皮膚のすぐ下(浅層リンパ管)などにあります。リンパ液は、リンパ管のまわりにある筋肉の動く力(筋ポンプ作用)や、近くを通る動脈の拍動に押されることで流れます。なので、スピードは血液と比べてとても遅く、流れる方向も体の各部位から心臓に向かう「一方通行」です。
座りっぱなしなどで体を動かさないとリンパ液も血液の流れも滞るので、体の各部位にリンパ液が溜まり、むくみやだるさ、冷えなどにつながりやすくなるとされています。そうして溜まりがちになったリンパの流れを促そうというのが、「深部リンパ節ほぐし」です。
次ページで、さっそく肩こりと二の腕のむくみをとる「深部リンパ節ほぐし」を試してみましょう。