北京在住で、日本と中国をつなぐ人材紹介会社を経営する藤井薫さんの新連載「中国の街・人・働き方」。女性活躍や多様性の実態など、中国の今をお届けします。今回のテーマは、藤井さんが中国に着目した理由や、ジェンダー事情について。中国は「男性が女性に尽くす風習」が強いといいます。その背景とは?
56民族14億人の中国の地域・世代事情
はじめまして。越境人才コンサルタントの藤井薫です。私は2018年に、中国の深センへ飛び込むように移住しました。
中国に住み始めて3年半くらいになりますが、知れば知るほど「まだまだ中国のことを理解していないな」と実感する日々です。
面積は日本の25倍、人口は56民族のルーツを持つ14億人、そして長い歴史がある。地域による違いや、世代間のギャップは大きいと思います。
例えばT1(ティアワン/最上位級)の大都市である北京、上海、広州や深センを比べても、それぞれ別の国と言えるほど、気候も歴史的背景も文化も違います。
また昨今は、80後(1980年代生まれ)、90後(1990年代生まれ)、00後(2000年代生まれ)という世代表現があるくらい、10年刻みで特徴が異なります。
その背景として、中国の急速な社会インフラのデジタル化が要因の一つに挙げられると思います。
04年にアリペイ、13年にウィーチャットペイなどの電子決済が始まって以降は、人々は現金を持たなくなりました。山道の露店でさえも、すべて電子決済で支払いは完了します。デジタライズされた社会インフラが浸透し、スーパーに行く必要がなく、生鮮食料品を最短30分以内で自宅へ届けてくれるオンラインスーパーを、私も愛用しています。
今の子どもたちはこのような社会環境で育ち、さらに速いスピードで社会が変化していくので、3年から5年違うだけで特徴が変わるのでは? とさえ感じます。
皆さんには、私個人が感じる中国の人々の暮らしや本音、働き方などについて、お伝えしていきたいと思います。