この人には、なぜ自分の言葉が通じないんだろう――。そう思ったことはありませんか? 部下が指示通りに動いてくれない、上司を説得できない、お客さんが乗り気になってくれないなど、「自分の言葉で相手を思うように動かせない」という悩みは多くの人が持っていると思います。
その悩み、「言葉の選び方を変える」ことで、解決するかもしれません。実は、Aさんに響きやすい言葉と、Bさんに響きやすい言葉はそれぞれ異なります。人によって、かける言葉を適切に選ぶことで心を動かしたり、行動を促したりしやすくなるのです。
この連載では、「LABプロファイル」というメソッドに基づき、相手に響きやすい言葉を選ぶ方法について紹介します。今回は相手の「思考の方向性」を知り、それに合わせた言葉遣いを選ぶテクニックです。
こんにちは、フリーアナウンサーの牛窪万里子です。前回の「なぜあの人には、私の言葉が響かないのか? 理由と対策」はLABプロファイルでパターン分けできる、人の「判断基準」と、それぞれのパターンの人を動かしやすい言葉遣いについて解説しました。
以前に私が、リーダーとしてあるチームを率いていた時のことです。メンバーにいた1人の女性とのコミュニケーションが、どうもうまくいきませんでした。私が「この企画を進めよう!」と皆に呼びかけても、なぜかその人はいろいろと理由を並べて、仕事に消極的な態度を取り続けました。ずっと、その人と話すときはギクシャクした雰囲気でした。
しかしLABプロファイルを学んだことで、その人は私とは「思考の方向性」が違うことが理解できました。それに合わせて言葉遣いを変えてみたら、信頼関係が改善されたという経験があります。
今回は、人の「思考の方向性」について、2パターンに分類して理解していきます。ではさっそく、思考の方向性を見極めるための「質問」はこちらです。
どうでしょうか、すぐに自分にとって一番大切なものが頭に浮かびましたか? 質問が広すぎると感じたなら、例えば「自分が仕事をするにあたって一番大切なもの」などと、シチュエーションを限定して考えてみてもいいでしょう。例えば「信頼関係」と答える人もいるでしょうし、他にも、「向上心」や「完成度」や「スピード」や「誠実さ」など、シチュエーションを仕事に絞ったとしても、回答内容は千差万別だと思います。
実は、この質問1の回答自体は、内容はなんでもいいのです。その回答を受けて追加で問う「質問2」こそが、本命の質問となります。
質問1にAさんが「信頼関係」だと答えたら、Aさんへの質問2は「なぜあなたにとって信頼関係が大切なのですか?」となるわけです。そして質問2への回答は、大きく2種類に分かれ、その人の「思考の方向性」を知ることができます。