多くの企業にとって、副業人材の受け入れは注目の選択肢になりつつある。普通の採用活動では出会えない人材を獲得できる好機ともいえるが、副業人材の受け入れには独特の難しさやコツもある。副業人材マッチングサービス会社に、副業市場の最新トレンドや、副業活用のメリット、失敗するパターンやその回避法について聞いた。副業したい人が知っておくべき、企業の求める人材像やスキルも紹介する。

 新型コロナウイルス禍によるリモートワークの浸透などを背景に、働く個人や企業の副業への関心が高まっている。リクルートが行った「兼業・副業に関する動向調査2020」によると、「会社員(正社員)」と回答した7937人のうち9.8%が調査時点で兼業・副業をしており、47.0%に実施意向があった。また、人事担当者1648人に聞いたところ、49.5%が会社で兼業・副業を認める人事制度を導入しており、49.9%が社外からの兼業・副業人材を受け入れていると回答した。

 そもそも副業熱はなぜ高まっているのか。副業市場の最新トレンドや受け入れ企業の現状などについて、副業に関するマッチングサービスやプラットフォームを展開する3社の担当者に聞いた。

企業の副業解禁・受け入れの狙いは?

 働く個人の副業への関心が高まっている背景には、リモートワークの浸透や先行き不透明な時代への危機感があるという。リモートワークで不要となった移動時間を自分の活動の時間に充てるなど働き方の自由度が増したほか、コロナ禍で世の中の急激な変化を目の当たりにしたことで、今後のキャリアを見直す機会が増えている、とビジネスサイド特化・ハイスキル現役社員の副業マッチングサービスを展開する「lotsful」代表の田中みどりさんは話す。

 企業側もコロナ禍を契機として副業容認と受け入れの動きが活発化しているが、始まりは副業解禁元年といわれる2018年頃まで遡る、と専門性を持つ個人をプロジェクト単位で企業とマッチングする「ビザスクpartner」事業部長、草野琢也さんは言う。

 「5年前頃から、世の中の変化のスピードが増す中で企業の成長を促すためには、経営をよりダイナミックにシフトしなければいけないという動きが強まっています。しかし、自社の社員が持つ知識やスキルだけだと、新規事業の展開やイノベーションの創出はどうしても限られる。そこで、外部から得たノウハウや外部の人材を活用することでスピーディーな事業成長を試みることが、企業側の副業解禁や受け入れの狙いだと思います」(草野さん)