3月8日、国際女性デーに寄せる特別動画メッセージ連載。今回登場するのは、エリン・マクレディさんと、もりたみどりさんです。

米国で一方が性別を変更した結果、日本での婚姻が認められなくなった

もりたみどりさんとエリン・マクレディさん。動画は次ページにあります(本文下のリンクをクリック)
もりたみどりさんとエリン・マクレディさん。動画は次ページにあります(本文下のリンクをクリック)

 エリン・マクレディさん(以下、エリンさん)と、もりたみどりさん(以下、みどりさん)は、結婚22年目で、3人の子どもを育てる東京都内在住のカップルです。エリンさんは青山学院大学の言語学教授、みどりさんは都内クラブでイベントオーガナイザーなどを務めるアーティストです。

 エリンさんは2018年、故郷・米テキサス州で、性別を男性から女性に変更。後に、東京都目黒区役所で住民票の性別変更を申請したところ、みどりさんの続き柄が「妻」であるままでは難しいため、「縁故者」に変えるように提案を受けました。2人がこれを拒否したため、エリンさんは住民票上では男性のままになっています。

 そして2021年6月21日、2人は婚姻の自由などを保障する憲法に違反するとして、国などに対して220万円の賠償を求める訴えを東京地裁に起こし、現在、裁判が行われている最中です。

 今回、2人に、国際女性デーに向けたメッセージビデオ撮影を依頼したところ、快諾してもらえました。撮影は2人の自宅で実施。当日どんなメッセージを発信するかを話し合っているときに、エリンさんが言いました。「ほら、みどりちゃん、最近、気に入っている言葉があったじゃない」。「ああ、『奴隷根性』のことね」と、みどりさん。あまり耳慣れない言葉であるため、詳しく聞いてみました。


エリンさん 家でも職場でも、誰もがやりたがらないけれど誰かがやらなくてはいけない仕事が山積みになっているとき、女性は、つい「はい、私がやります」と言ってしまいがちですよね。

みどりさん 私はそれを「奴隷根性」と言っているんです。自分の中の奴隷根性に気付いて、それを捨てなければ、自分が本当に望む人生を生きることは難しいです。

エリンさん 奴隷根性に縛られているのは、女性だけではありません。男性だって、家庭の大黒柱としてお金を稼ぐ、職場では女性より長時間働く、大きな責任を背負うといった家父長制的なものにがんじがらめになっています。そして、この奴隷根性は資本主義とセットになっていると私は思っています。以前であれば、これがある意味うまく働いていた。でも、もうそんな時代は終わりました。

 これから私たちはその変化を敏感に察知して、変化に適応していかなければいけないし、社会も変えていかないといけないときに来ているのではないでしょうか。


 そんな話を伺ってから録画したメッセージがこちらです。