2022年2月発売のひきたよしあきさんの著書『人を追いつめる話し方 心をラクにする話し方』(日経BP)。博報堂フェローのひきたさんが500人以上の体験談を集めてつくった一冊です。引き続き、ひきたさんとブロガー・作家のはあちゅうさんの対談で、使うときには気をつけたい「要注意言葉」の例や日常生活の中で言葉をブラッシュアップする方法を聞きました。

上 ひきたよしあき×はあちゅう Z世代の心が救われる言葉
下 ひきたよしあき 北風&太陽言葉 使い方で人生が変わる ←今回はココ

ひきたよしあきさん(以下、ひきた) 前回、「疑問形の言葉を使うときには、その意図もきちんと伝える」というはあちゅうさんのお話が印象的でした。ほかにも何か会話で心掛けていることはありますか?

はあちゅうさん(以下、はあちゅう) これも会社員時代の経験から得た学びなのですが、「会話のキャッチボール」を意識して話すことも大事だなと思っています。社会人になって初めて配属された部署に、相手にダメ出しはするけど、ダメな理由は教えてくれない、ちょっと怖めの先輩がいたんですね。こちらは部下だから圧を感じて、質問もしづらくて、どうすれば相手の機嫌を損ねずにいられるかばかりを考えていました。

 慣れない職場でまだ楽しくコミュニケーションをすることなんてできないし、「相手にされていないのかな、見下げられているのかな」と悲しくなってしまいました。せめて、「いいね」とか「これは違うんじゃない」といった「受けのひと言」があるといいなあと思います。

ひきた コンフォートゾーンがない状態でのコミュニケーションは、相手に不安を与えますよね。『人を追いつめる話し方 心をラクにする話し方』にも書きましたが、転職してきた人に対して太陽上司が「君が○○くんか!」と名前を呼んで、「待ってたよ!」とポジティブな言葉を投げかけた(121ぺージ)。「受け入れ体制ができているよ」というメッセージがあるだけでも、相手の心をラクにすることができます。

 さらに、言葉だけでなく、態度もすごく重要。よくあるのが、病院の診察室で、パソコンの画面から目を離さないお医者さん。そんな状態で「どうしましたか?」と言われても冷たく感じるし、相手を不安にさせます。この厳しい態度で冷たい印象を与えるのを「北風言葉」ならぬ「北風態度」と呼んでいるのですが、僕らは「太陽態度」を目指したいですよね。

はあちゅう すごく共感します! 会社員時代に、話しかけると椅子ごとこちらに体を向けて聞いてくれる先輩がいたのですが、すごく安心感がありましたね。相手をリスペクトする気持ちになるし、頼りたくなりますよね。

博報堂フェローのひきたよしあきさん(写真左)と、ブロガーで作家のはあちゅうさん(右)
博報堂フェローのひきたよしあきさん(写真左)と、ブロガーで作家のはあちゅうさん(右)
言葉のプロが500人以上の声を集めて作った あなたの一言で部下が伸びる!見直すべき「声のかけ方」30のシーン
『人を追いつめる話し方 心をラクにする話し方』
編集:日経xwoman
発行:日経BP
定価:1650円(10%税込)

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【内容】
イソップの寓話「北風と太陽」の教訓を基に、「北風上司」と「太陽上司」を主人公にした物語形式の一冊。

★相手を励まし、前向きにさせる「太陽言葉」
・プレッシャーに押し潰されそうな部下の心を軽くする言葉
・大きなミスをして落ち込んでいる部下を立ち直らせる言葉
・家庭の事情に悩む部下を勇気づける言葉 など

★相手のやる気をなくさせ、恐怖を与える「北風言葉」
・チャレンジしようとする部下の芽を潰す言葉
・部下に、「上司にはしごを外された」と感じさせる言葉
・仕事に私情を挟んで、部下を混乱させる自分勝手な言葉 など