厳しい口調で話した後に…

 「花田さんは、これまで提出した企画を全部並べて見たことがある? 11本の企画を出してくれている。でも、よく見てみよう。全部一緒だ。多少のバリエーションはあるけれど、結局は、得意先の望んでいることを企画書にまとめているだけだ。それは企画じゃない。相手の業務依頼に応えただけだ。

 花田さん、得意先は正解だけでは満足しないんだよ。魅了されたいんだ。先方は、多少耳が痛い話であっても、最後にみんなが喜ぶアイデアを求めている。花田さんの努力はよく分かるよ。得意先を思う気持ちが強いこともよく知ってる。

 でも、花田さんならこのイベントに来る人の気持ちを考えて、もっといい案を出せるはずだよ。得意先を満足させる企画は、もう十分つくれる。これからは、もっと人を巻き込む力のある企画書を書いてほしい」

 ここまで厳しい口調で話した後、太陽上司は、突然テンションを上げた。

 「花田さんは、『花田2.0』に、バージョンが変わるときなんだ!」と、昭和の劇画タッチの口調でおどける。「ええ、何それ!」と思ったけれど、こわばっていた心がほどけて、つい笑ってしまった。

 「花田2.0」。私は、太陽上司のこの言葉をこう解釈した。「そろそろ自分の色を出すときだ」。よし、絶対次は、太陽上司をうならせてやる。

【解説】シビアな話をするときの太陽上司の行動&言葉

 太陽上司、部下を諭す言葉にもメリハリがありますね。部下とのシビアな話のとき、太陽上司の行動は参考になります。

1 シビアな話は、1対1で。周りの目がない、ふたりになれる場所で話す。
2 「どうしてこうなったのか、分かるか」と相手に考えさせるが、追い込まず、努力を肯定し、自分の意見もしっかり伝えている。
3 部下の気持ちが沈んだままで終わらせないように、口調を変えたりして道化師になることを心得ている。

 叱るときやシビアな話になるときは、相手の逃げ道や向かう方向を示すことが大切です。「花田2.0」という言葉、花田さんの今後の力になるといいですね。

ポイント

シビアな話をした後は、
口調を変えて相手の心をなごませる

言葉のプロが500人以上の声を集めて作った あなたの一言で部下が伸びる!見直すべき「声のかけ方」30のシーン
『人を追いつめる話し方 心をラクにする話し方』
編集:日経xwoman
発行:日経BP
定価:1650円(10%税込)

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【内容】
イソップの寓話「北風と太陽」の教訓を基に、「北風上司」と「太陽上司」を主人公にした物語形式の一冊。

★相手を励まし、前向きにさせる「太陽言葉」
・プレッシャーに押し潰されそうな部下の心を軽くする言葉
・大きなミスをして落ち込んでいる部下を立ち直らせる言葉
・家庭の事情に悩む部下を勇気づける言葉 など

★相手のやる気をなくさせ、恐怖を与える「北風言葉」
・チャレンジしようとする部下の芽を潰す言葉
・部下に、「上司にはしごを外された」と感じさせる言葉
・仕事に私情を挟んで、部下を混乱させる自分勝手な言葉 など

イラスト/大西洋