【解説】潜在的な憎まれ口に注意

 北風上司、残念過ぎます。心の底では、横野さんの復帰を待ち望んでいたのかもしれません。本当は「まだ、赤ちゃんも大変だろうから、ゆっくりと仕事に戻るようにして構わないからね」と言いたかったのでしょう。しかし、日ごろから「憎まれ口」をたたいていると、ふっと口に出る言葉にも毒が混じる。ポジティブに発言しようと思った言葉に、ネガティブが染み込んでしまうのです。潜在的な憎まれ口に注意したいものですね。

 実際に産休や育休が明けて会社に復帰した人のお話を聞くと、信じられないような心ない言葉を吐く人たちがいるのに驚きます。「あ、戻ったんだ」「あなたは、戦力外」「主婦が暇だから戻ってきたんだろ」「早く帰るときは、みんなの気分を害さないように」。帰るときに上司に「また、来てね」と小バカにするような口調で言われたという人もいました。

 「お客さんでいいよ」などという言葉を掛けられたとき、「じゃあ、VIP待遇でお願いします」とジョークをとばせる間柄なら救われる。そうではないときは、「できる範囲で、しっかり働きます」とビシッと返したほうがいい。会社はビジネスの場なのですから。

 北風上司は、「お客さん」などという言葉を使わず、「期待しているよ」と「無理はするなよ」の2語さえあれば十分です。横野さん、とにかく復帰、おめでとうございます。明日からすてきなバッグを持って、仕事と子育てを楽しんでくださいね。

ポイント

育休明けの部下に伝える言葉は、
「期待しているよ」「無理はするなよ」

言葉のプロが500人以上の声を集めて作った あなたの一言で部下が伸びる!見直すべき「声のかけ方」30のシーン
『人を追いつめる話し方 心をラクにする話し方』
編集:日経xwoman
発行:日経BP
定価:1650円(10%税込)

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【内容】
イソップの寓話「北風と太陽」の教訓を基に、「北風上司」と「太陽上司」を主人公にした物語形式の一冊。

★相手を励まし、前向きにさせる「太陽言葉」
・プレッシャーに押し潰されそうな部下の心を軽くする言葉
・大きなミスをして落ち込んでいる部下を立ち直らせる言葉
・家庭の事情に悩む部下を勇気づける言葉 など

★相手のやる気をなくさせ、恐怖を与える「北風言葉」
・チャレンジしようとする部下の芽を潰す言葉
・部下に、「上司にはしごを外された」と感じさせる言葉
・仕事に私情を挟んで、部下を混乱させる自分勝手な言葉 など

イラスト/大西洋