投資に関する専門家の分析は…?
ジェンダー・ダイバーシティに優れた企業群に投資するファンドの株価が、日本株市場を代表するTOPIXに比べて、2018年ごろからパフォーマンスを伸ばしている点について、投資に関する専門家は2021年の取材で次のように分析しています。
「市場全体に幅広く投資するユニバーサルオーナーと呼ばれる機関投資家は、企業が持続的に収益を上げられるかどうかを見ている。彼らにとってダイバーシティは重要なファクターの1つだ」
(MSCIクライアントカバレッジ エグゼクティブ ディレクター・杉原龍馬氏)
「女性の活躍の場が増えれば、それだけ企業内に埋もれていた優秀な人材を発掘できる。過去において女性管理職の割合が多い企業ほど、強く成長していたことは疑いようのない事実だ。世界各国の年金基金など、多くの機関投資家がこの考え方を取り入れているため、女性活躍度で劣る企業の株価は上がりにくいという状況がすでに生まれているわけだ。特に2015年ごろからは、ESG投資のブームが株価に強く影響を与えるようになり、それが女性活躍が進んだ企業の株価を押し上げていることは間違いない。このESGを構成する要素の中に、ジェンダーの平等も含まれる」
(智剣・Oskarグループ主席ストラテジスト・大川智宏氏)
(MSCIクライアントカバレッジ エグゼクティブ ディレクター・杉原龍馬氏)
「女性の活躍の場が増えれば、それだけ企業内に埋もれていた優秀な人材を発掘できる。過去において女性管理職の割合が多い企業ほど、強く成長していたことは疑いようのない事実だ。世界各国の年金基金など、多くの機関投資家がこの考え方を取り入れているため、女性活躍度で劣る企業の株価は上がりにくいという状況がすでに生まれているわけだ。特に2015年ごろからは、ESG投資のブームが株価に強く影響を与えるようになり、それが女性活躍が進んだ企業の株価を押し上げていることは間違いない。このESGを構成する要素の中に、ジェンダーの平等も含まれる」
(智剣・Oskarグループ主席ストラテジスト・大川智宏氏)
杉原氏や大川氏の発言から、巨額の投資金を扱う機関投資家たちが、ESG投資の軸の1つである「ダイバーシティ、ジェンダー平等」を重要な指標として投資している結果、株価によい影響が出ていることが分かります。
「D&Iをやって、もうかるのか」という問いに対する情報は、これまでさまざまな業界で分析がおこなわれてきました。次回は、ヘッジファンドの運用結果に焦点を当てた分析を紹介します。「本当にもうかるの?」という率直な質問への答え探しに、別の角度から深掘りしていきたいと思います。

『SDGs、ESG経営に必須! 多様性って何ですか? D&I、ジェンダー平等入門』/著・羽生祥子
・データが豊富で分かりやすい、納得できた! と好評
・企業研修のテキストに次々採用!
・女性に加え、若手男性からも「上司に読ませたい」の声
構成/日経xwoman編集部 写真/Aiko Suzuki イメージイラスト/PIXTA