SDGs、ESG経営に必須! 多様性って何ですか? D&I、ジェンダー平等入門』(日経BP発行、羽生祥子著)から一部を抜粋し、なぜ日本のダイバーシティが立ち遅れているのかを明らかにする連載。多様性がない組織によくある言い訳のトップ「女性だけ特別視する必要あるの?」に続き、2つ目の言い訳「D&I(ダイバーシティ&インクルージョン)をやって、経営は上向くのか?」という問いへの答えを見つけていきましょう。

「D&Iをやって経営が上向くのか?」に対するデータ

 この問いに対する答えとなるデータや根拠は、年月を経るにつれて集計され、研究結果が発表されてきています。それは、今から20年以上も前に「環境にとってよい経済活動をする企業が長期的には成長する」という論が起こったときの話に似ていると思います。

 その当時は十分な蓄積データがないゆえに、真偽が問われていました。環境維持というテーマは、企業のガバナンスや経営戦略ではなく、ごく一部の担当部署が取り扱っていました。ですが今、グローバルレベルの企業統治方針をご覧ください。徐々にデータが蓄積され、「サステナブル部門」という一部の担当者の仕事ではなく、企業全体で取り組むべき経営課題となっていますね。

 ダイバーシティに関する取り組みも同様です。既存の利益集団(ジェンダー多様性でいくと、既得権益のある性別=男性)の一部からは反論・反対が起こる構造改革ですが、中長期的な視点に立つと、進化していかなければならないターニングポイントに立っているのです。ではさっそく、蓄積されてきたデータを見ていきましょう。

女性活躍が進む企業ほど、純利益が上がる事実

 ダイバーシティと業績は無関係だと思われているフシは、まだまだあります。そこでここからは、企業の業績・株価・ガバナンスと、複数の視野と角度でデータを見ていきましょう。

 まずは業績です。2021年9月に日経ビジネスと日経xwoman編集部で、「女性取締役就任ラッシュを追う」という特集を発信しました。私はチームメンバーの1人である記者に、株価ではなく、直接業績に関するデータはないかと相談していました。株価は投資家の行動や、市場環境などたくさんの要素が関係した数字だからです。なので、売り上げや利益など、直接的な業績に反映しているかどうかが知りたかったのです。すると、興味深い数字が出てきました。