製造現場でもテレワークを目指す

 キョトンとしてましたね(笑)。その後、全体集会の場でも同じように謝罪して女性活躍についてのアイデアを出してほしいと話し、経営方針と目標にも女性活躍の推進を盛り込みました。

 もちろん制度も整えています。「子どもが小学校4年生になるまでの育児短時間勤務制度」や、「1時間単位での有給休暇取得」「テレワーク制度」など、一通りそろっていると思います。これは女性に限らず、誰もが働きやすい会社にするためですね。

 特にテレワーク制度は、新型コロナウイルス以前から力を入れています。東京と大阪の事業拠点や本社ではテレワーク化がかなり進んでおり、その生産性の高さを実感しています。今は製造現場のテレワーク化を目指しているんですよ。

―― 製造現場でもですか。それは驚きです。

坂田 製造部門の社員が「テレワークなんて自分たちには縁のないことだ」と言うのを聞いた瞬間に、「製造現場のテレワーク、これは挑戦しがいがあるぞ」と思いました。もともとすごく天邪鬼(あまのじゃく)なんです。「できないに決まってる」と言われたらがぜんやる気が出てくる。必ず何か方法がある、できるはずだと思っています。それに、不可能だといわれていることを可能にできたら、それこそが社会に対する有益なメッセージですよね。

 私は会社を、「単純な経済活動をしているイチ組織」で終わらせてはいけないと思っているんです。サカタ製作所のあり方を見せることで、社会に対して何かを提案して、おこがましいかもしれないですけど、見本となることで、社会がより良くなっていけばいいなと思っています。同時にこれは、会社の魅力の創出でもあります。

 私の友人に有名アウトドア用品メーカーの経営者がいるのですが、その会社の社員はほとんどがアウトドア好きなんです。アウトドア好きな人間が全国から集まってくる会社です。一方サカタ製作所は、建築金物製造業です。どうひいき目に見ても、皆が憧れる仕事ではないんです。「私、大きくなったら金属屋根の部品つくるの」なんて言う子どもはいませんよね。だから、魅力ある仕事じゃないからこそ、別の形で魅力をつくらなくてはいけない。働く環境面の充実はもちろん、社会の課題を先取りして、まだ誰もやっていないことに挑戦する会社のあり方など、仕事内容ではなく別のところに魅力をつくっていかなくては、と思っています。

 私は日本をもう一度、世界から憧れられる魅力的な国に戻したいんです。そのためには、国内で足並みそろえてのんびりしている暇はない。「男性育休」も「女性活躍」も、国に言われて仕方なくでは遅すぎます。新しい価値観をいち早く捉え、これからの時代にフィットする企業であるようこれからも変わり続けます。

取材・文/豊田里美 写真/サカタ製作所提供 イメージ写真/PIXTA