男性育休の「強制」でも現場の混乱はなし

立石 制度は17年に作りました。取得は強制です。当初は5日間で「とにかく、子どもが生まれたら5日間の連続休暇を取得し、妻を助けろ」としていました。ところが、制度を作ってしばらくして、女性社員から「ちょっと待ってください」と直言されてしまいました。

 「産後5日までは、病院に入院していることもあるので、夫の手はいらない場合が多いと思います。里帰りしているなどいろいろなパターンがあるんです」と言われてしまいました。今では配偶者の産後、都合の良い時期に7日間連続で取得、とより柔軟にしています。日数は少しずつ増やして、いずれは30日程度にしていきます。

そもそもの始まりは「7日間連続休暇取得制度」

―― 強制的に連続5日、現在では7日の休暇取得には「そんなに休まれては、現場が回らない」といった不満はなかったのでしょうか?

立石 男性育休の強制による混乱はまったくなかったです。それには理由があります。実は男性育休以前に7日間連続休暇取得制度という制度を作っていたんです。「ドリームセブン」と社内的には呼んでいます。全社員が1年に一度、7日間の「連続休暇」を取得して楽しむ、というもので、こちらは15年から取り入れた制度です。

「この人にしかできないとされている仕事をしている社員たちが、それをほかのメンバーと分担する仕事おろしを、自主的に始めた」(画像はイメージ)
「この人にしかできないとされている仕事をしている社員たちが、それをほかのメンバーと分担する仕事おろしを、自主的に始めた」(画像はイメージ)

 当時は、慢性的に「休めない」状態に陥っていました。これは、そもそも「休みを長く取る」という考えが、職場になかったことが大きい。正直、当時の職場環境はどこか殺伐として悪かった。そこで私が14年、「休める」状態に変えることを宣言したのです。

 社内からは「業務がストップしてしまう」「同僚や取引先に迷惑がかかるから自分にはできない」というような反対もありましたよ。また、熟練の技術者たちからは「この仕事は自分にしかできない」という声も直接もらいました。

 しかし、殺伐とした現状をなんとか変えたかったので、トップダウンでスタートさせました。重視したのは休暇中の出来事を社内でシェアすることです。休暇取得前と取得後には、朝礼で報告する時間を設けました。ある社員は「彼女と沖縄に行きます。留守の間よろしくお願いいたします」と報告してくれました。

 そういった楽しい話を聞いていると「いいなあ」となりますよね。そして、「私も」と思う社員が増えたのです。「この人にしかできない」とされている仕事をしている社員たちが、それをほかのメンバーと分担する「仕事おろし」を、自主的に始めました。結果、猛烈に反対していた古参の社員たちが進んで7日間の連続休暇を取るようになりました。

女性活躍&男性育休 ポイント2
育休強制の前から「業務の棚卸し」

育休とは関係なく、7日間の連続休暇を取得させていた。この制度によって、社員たちが自ら業務の属人化を解消してきていた。

―― もしかして、はじめからそこを狙っていましたか?