日経xwoman編集部では2021年10月から12月にかけて、日本の上場企業3823社を対象に女性取締役の実態を調査した。各社の有価証券報告書、ホームページの情報を基にすべての女性取締役を洗い出し、調査レポート『女性活躍サーベイ CGC改訂後、プライム市場を目指す 上場企業の実態と課題分析』(日経xwoman編)にまとめた。今回は、女性取締役がいない上場企業に注目した。
(1)22年株主総会に注目 女性取締役の顔ぶれは変わるのか
(2)上場企業の女性取締役2423人の実像 最多はノエビア
(3)上場企業の半数以上で「女性取締役ゼロ」という不都合な事実 ←今はココ
日経xwoman編集部が22年3月に発行した調査レポート『女性活躍サーベイ』では、日本の上場企業3823社を対象に女性取締役の有無、略歴などを調査した。そこで、浮かび上がったのは、女性取締役が一人もいない企業が少なからずある事実だ。
女性取締役がいない上場企業は21年12月時点で1965社。調査対象企業の半数以上に相当する。これらは投資先としてはもちろん、就職・転職先としても“不適格”と見られかねない「多様性ゼロ企業」といえる。
ものづくりを支えてきた、重厚長大型産業で女性取締役が少ない
調査した36業種のうち、女性取締役ゼロ企業の比率が低い、すなわちダイバーシティ経営を積極的に実行していると思われる上場企業が多い業種は、トップから順に「保険」「銀行」「鉄道・バス」などが並ぶ。日経WOMANが創刊時から不定期で実施している「企業の女性活用度調査」でも上位を占める常連が多い。
一方で、女性取締役ゼロ企業の比率が高いのは「海運」「パルプ・紙」「鉄鋼」「窯業」。いずれも日本のものづくりを支えてきた、重厚長大型産業と関連企業だ。こうした業種はもともと女性社員比率が低く、その結果、女性管理職比率も低めで、ひいては女性取締役がいない結果に陥っている。