お通じが出きらず、肛門に便がたまることで慢性的な炎症に悩む人が増えています。このおしりトラブルの元凶が、便意を我慢するクセによって起こる「腸や肛門の鈍化」。最終回は、「出残り便秘」を改善するための正しい排便習慣の取り戻し方と、気になる症状のセルフケア法について、皮膚科にも詳しい大阪肛門科診療所副院長の佐々木みのりさんに解説してもらいます。

第1回 間違ったおしりのケアが、かゆみや痔を招く 
第2回 正しいおしりの拭き方とは?2週間、「洗う」のはやめる 
第3回 脱「出残り便秘」で痔も改善してくる  ←今回はココ

便意を抑え続ける「我慢グセ」で出口が鈍感になる「出残り便秘」

 おしりがかゆい、ムズムズする、べたべたする、ぶつぶつができている──こんな「おしりの不快な症状」の根本原因となるのが、「便意の我慢グセ」。「肛門で便が停滞する“出残り便秘”の症状がある人に話を聞くと、便意を感じても、もっと便意が強まってくるのを待とうかな、と思っているうちに便意が消失してしまう、という人が多い。出残り便秘は、長年の我慢グセの結果として起こっている」と、大阪肛門科診療所副院長の佐々木みのりさんは言う。

 我慢グセがなぜ、便意をなくしたり、肛門に便が停滞することにつながるのか。

大脳からの指令で便意が起きるが、我慢し続けると信号の伝達が鈍くなってしまう。
大脳からの指令で便意が起きるが、我慢し続けると信号の伝達が鈍くなってしまう。

 この図のように、口から食べ物や飲み物を入れると「胃・結腸反射」が起こって腸は大きく動く。この動きで押し出されるように、肛門に最も近い直腸に、便がおりてくる。すると、「便がここまで来ましたよ」という情報が神経を介して大脳に伝えられる。ここで「出してOKかどうか」をすみやかに判断するのが大脳の役割。

「大脳の機能が未発達である赤ちゃんのときには、便が下りてくればそのまま排泄される。しかし、成長し集団生活をするなかで、大脳がそのときの状況に合わせて『今はまだ出しちゃダメ』と便意を抑える働きを持つようになる。便意を我慢する能力は大切な能力ではあるが、我慢グセが定着すると、あたかも“便をためるトレーニング”をしてしまっていることになる。その結果、腸の動きも便が直腸にきたことを感知する能力も、便を押し出す力も鈍化する。そして、出口である肛門に便がたまっているのに気づかない出残り便秘になる」(佐々木さん)。

 出残り便秘になると、残った便の水分が直腸から吸収されてカチカチになり、排出しにくくなったり排便時に肛門が切れたりする。「食物繊維や乳酸菌をとろう、腸マッサージをしよう、とみなさんありとあらゆる腸活をしているけれど、腸の出口の機能を取り戻さないことには不快な状態は解消されない。腸は便を作る・運ぶところ。肛門は便を出すところで、役割はまったく異なる。また、出口に便がたまると腸全体に悪影響が及ぶことも。ホースの先端が詰まっていれば、その奥のホースの動きも悪くなる。結果として、便秘と下痢を繰り返したり、いつもお腹が張っていてガスのにおいが気になる、など腸全体の不調に発展してしまう」(佐々木さん)。