心に余裕を持つためには?
心に余裕を持つためには、やはり「内容を絞った台本」を用意しておくのが効果的でしょう。「台本」とは質問事項のことです。聞きたいことがある場合、相手から出たキーワードをひたすら拾って返している間に、自分が本当に聞きたかったことを見失ってしまう場合もあるからです。また、出てきたキーワードを掘り下げようとしたのに、次のキーワードが出てこない、話が広がらないというパターンもあります。そのどちらの事態にも陥らないようにするために、事前の準備は大切です。
台本準備で気を付けたいのが、質問を細かくかっちりと決めすぎないこと。「相手から何を聞き出したいのか」という、質問の目的だけをしっかり決めておくのがポイントです。「今日は絶対にこの点についての本音を聞き出す!」という目的をしっかりと持っておけば、思い通りにいかなくなってきたときに、その目的に立ち戻ることで軌道修正ができます。
そもそも油田掘メソッドは、相手の会話の言葉を拾って返すテクニックなので、事前に質問の順番などを決めて臨むのはよくありません。たくさんの質問を用意してきても、会話は生(なま)ものなので、その通りにはいかないからです。
本当に聞き出したいことは基本的に一つに絞りましょう。話をする時間が十分にあるなら、複数の目的を設定してもいいですが、「数を絞る」ことは意識するようにしましょう。
その上で、目的のためにはどんな質問を投げかければいいか、という「聞きたいことリスト」を用意しましょう。「あれもこれも聞きたい」ではなく、一番聞き出したいことに近付くための入り口を複数用意しておく、というイメージです。複数の入り口を用意しておけば、そのうちの一つで相手の本音をあまり引き出せなかったとしても、違う入り口に切り替えて再び油田掘を始めることができます。このように準備しておけば、実際のヒアリングの場で予想外の展開になっても、冷静に対処することができるでしょう。
以上のように、一つの話題が終わってしまったとしても、次に質問する言葉が用意できていると思えば、話が途切れることを恐れずに、リラックスして話せるはずです。