適切な質問をしながら相手の「無意識」を意識化し、本音を引き出すヒアリングメソッドについて解説した『難しい相手もなぜか本音を話し始めるたった2つの法則 入門・油田掘メソッド』(牛窪万里子著、日経BP)。同書から、前回の記事「会話が途切れた後の『沈黙』が怖い 話を再開させるには」に続き、思うように会話がはこばない6つ目のケースとその対処法を紹介します。
表情・しぐさ・視線などで相手の本音を見極める
会話で困った!ケース【6】
相手の深いことまで質問したいが、どこまで聞いてよいのか躊躇(ちゅうちょ)する
相手から本音を聞き出したいけれど、その本音に踏み込んでいいのかどうか分からない……。こういったジレンマは確かにあります。「ここまでなら聞いていい」「ここから先はダメ」というラインを、どう見極めればいいでしょうか。
油田掘メソッドは、相手の使った言葉をそのまま繰り返すので、普通に質問するのと比べれば、拒否反応を起こされにくいテクニックです。デリケートなトピックであっても、「相手から出てきた言葉を使って質問する」「勝手な言葉を付け加えない」という油田掘のセオリーを、いつもより丁寧に実践することで、相手を傷つけずに本音や価値観に迫れる余地が生まれます。
とはいえ、誰にでも「踏み込まれたくない」部分はあるものです。私の経験ではこういった場合、相手の「表情」「しぐさ」「視線」を慎重に観察(キャリブレーション)し、そこから判断するのが適切だと思います。相手から明確な「拒否」のサインが出たら話題を切り替える、と決めた上で、可能なところまで本音に近付いていくというスタンスです。

相手から明確な「拒否」のサインが出たらストップ、それまで可能な限り本音に近付いていく