9月7日、がん対策推進企業アクションの主催するセミナー「コロナ禍で検診率が低下する女性特有がんの予防」が開催されました。本セミナーの目的は女性特有のがんとその検診率の低さを注意喚起すること。コロナ下の今、私たちはいつ、どのようながん検診を受診すればいいのでしょうか。セミナーのリポートをお届けします。
コロナ下で1万人のがんが見逃されている?
新型コロナウイルスの感染拡大はがん検診にも大きく影響しています。一般社団法人シンクパール代表理事の難波美智代さんによると、2020年における検診が必要な胃がん、肺がん、大腸がん、乳がん、子宮頸(けい)がんの受診者数は前年比で172万9305人減少。受診率は30.5%減少しました。つまり、外出自粛により検診を先送りにしている人が増えているのです。
減少した受診者数に2018年度の各がん発見率を掛けて推計すると、「約2100のがんが未発見の可能性がある」といいます。また、別の治療中に偶然発見されるがんなどもあるため、日本対がん協会は、2020年の日本では1万人以上のがんが未発見になっている恐れがあるとしています。
東京大学大学院医学系研究科教授の中川恵一さんは、今後も外出自粛が継続する場合、がん患者の罹患(りかん)率も死亡率も、さらに増加していくのではと懸念します。
「コロナにより医療現場がひっ迫していることは、大きな社会問題になっていますよね。一方で、がんによる死者数はコロナよりはるかに多い年間約38万人。1日当たり約1000人が亡くなっています。つまりコロナに備えつつ、より大きなリスクであるがんに対しても対策する必要があります」
乳がんの場合は1~2年で1cm大きくなることもあります。コロナを理由に検診を受けていない人は、ひっそりとがんを成長させている可能性があるのです。中川さんは、「昨年検診を見送った人は、今年は必ず受けてほしい」と強く訴えます。