女性特有のがんは20代から要警戒
がんの中でも、私たちがより気を付けたいのが、女性特有のがんです。世間では「がんは高齢者がなりやすい」というイメージがありますが、中川さんは、「女性特有のがんは若いときに発症する確率が高いため、早期に対策する必要がある」といいます。
「20~39歳のがん患者は、8割が女性。なぜなら、がんの中でも女性特有の『子宮頸がん』は20~40代、『乳がん』は閉経前の40代後半で発症するケースが多いからです」
特に「子宮頸がん」の場合は、20代というとても若い年齢から罹患する可能性があるといいます。
子宮頸がんのように、感染によって引き起こされる「感染型のがん」は、科学や治療の進歩によって少なくなるものだといわれています。例えば、同じく感染型のがんである胃がんは冷蔵庫の普及により、肝臓がんは輸血する血液からウイルスを除去することにより、年齢調整死亡率は減少しています。
しかし日本では唯一、子宮頸がんだけが増加傾向にあるのです。理由のひとつに挙げられるのが、若年層の子宮頸がん検診における受診率の低さです。
先進国の中で、日本における乳がん検診と子宮頸がん検診の受診率は最下位。このグラフから、多くの日本人は「若いときからがん検診が必要」という情報を知らないことが分かります。
「子宮頸がんは『制圧可能ながん』といわれています。検診受診率とHPV(ヒトパピローマウイルス)ワクチン接種率が高いほど、予防できる割合が高く、ワクチン接種率と検診受診率が共に85%に達すれば、子宮頸がんの95%を予防できるというデータもあります。この事実を、もっと多くの若者に知ってほしい」