市をあげて新婚カップルをバックアップ

 大学院を卒業した直後、國岡さんに辞令が交付され、3月26日付けで同期の男性社員とともに執行役員に任命された。國岡さん自身は、「この役職そのものができたばかりですから、まだ役員らしい仕事はできていません」と謙遜するが、後輩の女性社員からの信頼は厚い。

 「私も先輩たちから仕事を手取り足取り教えてもらったので、後輩にも同じように接しているだけ。今は私が入社した時よりも女性が増えたので嬉しいし、会社の雰囲気はどんどん明るくなっているように感じます。また、社歴は私よりも短くても、年上でお子さんがいるママ社員もいるので、これから教えてもらうことも増えそうです」

 そう話す理由は、國岡さんが昨年11月には2歳年下の会社員男性と結婚し、越前市内で2人暮らしをスタートさせたばかりだから。新居を探している時、地元の不動屋さんに教えてもらったのが、越前市の「新婚夫婦定住化支援事業補助金」(※2)だった。

 「すぐに申請しました。生まれてからずっと越前市に住んでいますが、こんな制度があるなんてまったく知りませんでした。県外に住んでいる友人で『越前市に引っ越そうかな』と言っている人がいるので、こういう制度をぜひ紹介したいですね」

毎月月末頃に開催される女子ミーティングなどを通して、女性社員同士の意識を共有。誰もが働きやすい環境づくりを続けている
毎月月末頃に開催される女子ミーティングなどを通して、女性社員同士の意識を共有。誰もが働きやすい環境づくりを続けている
※2 新婚夫婦定住化支援事業補助金……新婚夫婦が「中心市街地に居住している」または「いずれかが市外から転入して居住している」という2つの条件のどちらかに該当すれば、民間賃貸住宅の家賃について、(月1~2万円。居住地域により異なる)最長3年間補助を受けられる。
福井県越前市で働く
越前打刃物や和紙など、モノづくりの街として栄えてきた越前市には、働く女性をサポートするための制度が数多く用意されている。妊娠や出産、育児に奮闘する若い世代の家族にはうれしい制度やすぐれた教育環境が整っている。今回登場いただいた國岡さんも申請している「新婚夫婦定住化支援事業補助金」もその1つ。

取材・文:後藤かおる  撮影:田中勝明

* この記事の年齢、役職などは取材時のものです

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