「うれしい。楽しい。感謝!」家族や子育て、仕事、どんな話をしても、笑顔とともに、こんな言葉がこぼれ出す。生粋の越前っ子が語る、「この街ならではの豊かで優しい暮らし」の魅力とは?

vol.5 高橋美奈さん(33歳)● 井上リボン工業・生産管理部 生産品質管理課 試験室

 共働き率全国ナンバーワン(※)で、かつ出生率も全国上位を維持するなど、女性が産みやすく働きやすい環境が整っていることで有名な福井県。その中でも中央部に位置する越前市は、女性の就労や子育てについて、とりわけ手厚い支援体制があることで知られている。

 今回は、生まれも育ちも越前市という高原美奈さん(33歳)に、この街ならではの恵まれた子育て環境や、自分らしい完成を生かしたモノづくりとの関わり方について聞いた。

天職は、生活者目線を生かせる仕事

 「私の居場所も、大事な家族も、打ち込める仕事もみ~んな、この街にあるんです!」。そう言いながら、幸せいっぱいの笑顔を浮かべたのは高原美奈さん。生まれも育ちも越前市、高校以外はこの街から出ていないという生粋の越前っ子だ。

 「子どもの頃から絵やきれいな色が好きだったので、色彩について学びたいと思い、隣の福井市にある私立高校の生活文化科デザインコースに進学しました。でも、就職するならやっぱり、住みやすくて友達もたくさんいる越前市がいい。そう思って、越前市内にある企業の会社説明会に参加しました」

 就職先の候補の一つにしたのが、井上リボン工業。実家のすぐ近くにあったため、高原さんは小さい頃からその存在を知っていた。「説明会で、リボンの他にもブラジャーのストラップやスポーツウェアのパーツ、工業資材などさまざまな製品を作っていると聞いて、いろんな仕事ができそうな会社だなと思いました。それに、いろんな色のリボンを見られて楽しそうだし、高校で学んだことを活かせるかもしれないと思い、この会社に就職を決めたんです」

 入社して間もなく高原さんが配属されたのは、試験室。リボンから衣料品用のパーツまで、あらゆる商品の耐久性などを調べる仕事だ。予想していた通り、高原さんが選んだ仕事はまるで天職だった。例えばリボンを見れば、「この綺麗なリボン、何に使われるんやろ」とついウキウキしてしまう。ブラジャーやスポーツウェアのパーツは洗剤で洗ったり、機械で摩擦をかけたりして、「洗濯をくり返したらどうなるか」「服にこすれても色移りしないか」などを検査する。

 「見た目のよさも大事ですけど、女性なら何度か使っただけで伸びたり、衣服に色移りしたりする製品は許せませんよね(笑)。だから、普通の生活の中でトラブルが起きないかどうか、徹底的にチェックしています。こんな風に生活者目線を生かせるのも製品試験の面白いところです」

※ 福井県の共働き率56.8%、全国平均45.4%(総務省「平成22年度国勢調査」より)